シンガポールの有名進学校で、教師がクラスメイトを激しく叱責する様子をPDAに付属したカメラを使って録画し、このビデオをネット上で公開した生徒が、警告処分だけで放免されたと、シンガポールの日刊紙Straits Timesが報じた。
シンガポール中に激しい論争を巻き起こした事件が、やっと結末を迎えた。この閉鎖的で高圧的なエリート校の実態を暴露したとして、この生徒の行為を賞賛する声があがる一方で、これをプライバシーの侵害と問題視する声もあった。また、撮影機能付き電子機器の学校や公共の場への持ち込みを許可すべきかどうかについての検討も始まっている。
公開されたのは画質が粗く切手ほどの大きさの3分間の映像。ソニーの携帯端末CLIEで撮影したもので、そこには理性を失った教師が生徒を激しく叱責した後、宿題をほかの生徒の目の前で破り捨てる様子が写されていた。
事件は、Raffles Junior Collegeという大学進学を控えた生徒が集まる学校で起きた。生徒の学業成績も良く、多くの高官や企業幹部を輩出していることで有名な学校である。
Straits Timesによると、校長のWinston Hodgeは16日(シンガポール時間)、生徒と教師の双方が今後カウンセリングを受ける予定であり、また生徒が謝罪したと述べたという。
一部の国民は、権威者に対する無礼な行為については厳しい態度をとるべきであると主張し、この生徒を厳罰に処することを求めていた。
また、Singapore Palm Users Group (SPUG)のような、ハードウェア関連の様々なユーザー運営サイトでは、この生徒の行動がどんな道義的影響を持つかについて、あるいは撮影に使用したハードウェアについての意見が飛び交った。
カメラ付きの携帯電話やPDAについての議論は、アジア各地に広まっている。日本では、書店経営者がユーザーに対し、写真を撮らずに雑誌を購入するよう求めている。韓国政府は、カメラ付携帯電話のメーカーに、写真撮影時には必ず大きな警告音を発するようにするよう求めている。オーストラリアなどでは、更衣室や、軍事施設など高度のセキュリティーが求められる場所への、これらのデバイスの持込を禁止している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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