米Oracleの最高経営責任者(CEO)、Larry Ellisonは「米PeopleSoftの今後の四半期業績は不振に陥り、同社はOracleの買収計画に心揺れ動くことになる」との見解を明らかにした。
先月、J.D. Edwardsの買収を発表したPeopleSoftに対し、Oracleが63億ドルの敵対的買収を仕掛けた。米司法省は現在この件について反トラスト法を視野に入れた調査を行っている。司法省は、PeopleSoftのJ.D. Edwards買収を承認する一方で、Oracleに対してはさらに詳しい調査を行なうため、追加情報の提供を求めている。こうした経緯がEllisonに今回の発言をさせた。
米コロラド州アスペンで開催中の投資銀行向け会議において、Ellisonは「司法省の追加調査と、PeopleSoft経営陣の止まない抵抗がOracleの買収計画に支障を来たすのでは」との見方に反論した。
同氏は「情勢がPeopleSoftに傾いているとは思えない」とし、また、司法省が米国時間7月15日にPeopleSoftの米J.D. Edwards買収手続きを承認したことについては、「事態がさらに複雑になる可能性がある」(Ellison)と説明している。
「PeopleSoftがJ.D. Edwardsを買収することにより、PeopleSoftの業績が目くらましのものになってしまう。この買収でPeopleSoftは何期かは好業績を収めるだろうが、PeopleSoftの本来の事業は停滞が続いているため、投資家の混乱を生み出す異様な業績となるだろう」(Ellison)
これに対し、PeopleSoftの広報担当者であるSteve Swaseyは「我々は大方の予想を上回る第2四半期業績を報告したばかりだ。これは当社財務の健全性を一目瞭然で示すものだ」と反論している。
買収をもくろむOracleにとっては、業績の他にも懸念事項がある。PeopleSoftに「ポイズンピル(乗っ取り防止策)」の解除を求める訴えを、裁判所に認めさせる必要があるからだ。この試みが失敗した場合、Oracleは次の手として、PeopleSoftの役員席が空席になる来年の6月に、Oracle寄りの役員を選出させるよう仕向けるという。
Ellisonは「PeopleSoftが現在行っている、Oracleによる買収計画を引き伸ばす作戦は、PeopleSoftの業績が上向いている場合にのみ効果がある。今後、同社の業績が上向くとは思えない」と述べている。
しかし、一部のアナリストは「Oracleは完全にPeopleSoftに手綱を握られている」と語る。
「司法省がOracleに対して追加情報の提出を求めていること、さらにPeopleSoftとJ.D. Edwardsの合併に伴って事態の決着が長引いていることから、Oracleがこの敵対的買収を成功させる可能性は低い」(米Coudert Brothersの反トラスト担当弁護士、Rob Christopher)という。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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