カリフォルニア州パロアルトの新興企業が、電子メールの暗号化の普及に狙いを定めている。
Voltage Securityの電子メール暗号化システムは、公開コードと非公開コードという2つのセキュリティコードを組み合わせて利用する現在の実現方法に多少の手を加えて、メッセージの暗号化と解読を実現する。Voltageによると、同社のアプローチなら、公開鍵と呼ばれる方のコードは送信者の電子メールアドレスから取得できるようになり、処理手順が1つ減ることになるという。
Voltageの最高経営責任者(CEO)、Sathvik Krishnamurthyは、「セキュリティの保証や証明を取得する手続きが不要になる」と語っている。
既存の公開鍵認証システムでも、同レベルのセキュリティを実現できるが、Voltageのソフトウェアはシンプルであるため、いまより安全性の高い電子メールの利用に関心を示しながらも、そうしたシステムの導入に必要な作業を考えて、二の足を踏んでいた企業が、これに関心を寄せる可能性がある、とVoltage経営陣は話す。
公開「鍵」の基本部分を、だれかの身元情報を利用して作成するというのは、今に始まった考え方ではない。1984年には公開鍵方式を提唱した草分けであるAdi Shamirが、このようなアプローチを提案していた。2000年にも、Dan BonehおよびMatt Franklinという2人の大学教授が、このようなアプローチの背景にある数学論を概説した論文を発表している。そして、Bonehはほかの数人とともにVoltageを設立し、この方法を利用した商用ソフトウェアの開発に乗り出した。現在20人の社員を抱える同社は、MorgenthalerとHummer Winbladの両社からベンチャー資金を獲得している。
Voltageでの開発の成果として生まれたこのプログラムを使えば、前もって計画しておかなくても、暗号化した電子メールのやり取りが行える。Krishnamurthyによると、同社のソフトウェアで必要とされるのは、暗号化された電子メールを送信する側だけだという。受信側はOutlook、Outlook Express、Eudora、あるいはBlackBerryの端末などを使って、メッセージを自動的にデコードできる。また、IBMのLotus Notesに対応するテスト版も用意されている。
Voltageによると、このアプローチは暗号化された電子メールの送信手順を簡略化するほか、暗号技術システムの管理コスト削減にも役立つという。だがKrishnamurthyからは、同ソフトウェアが発売されること、ならびにSilicon Valley BankとeHealthInsuranceの2社が試験運用していることを確認できたものの、同ソフトウェアのコストについては聞き出すことができなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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