シスコ:「IPv6へ移行すべき時がきた」

 米Cisco Systemsのシニアエンジニアは、先週CNETAsiaに対して、現在使用可能なIPアドレス々の数は、 我々が想像しているより遥かに少ないことが、数々の研究結果から明らかになっている、と述べた。

 同エンジニアの警告で、インターネットが現在のIPv4からIPv6へ移行せざるをえなくなるまで、どの程度時間の猶予があるかについての議論に、いっそう拍車がかかるものと見られる。なお、IPv6への移行に伴うハード/ソフトウェアのアップグレードには、数十億ドルのコストがかかると予測されている。

 一方、既存のIPアドレスが枯渇するまで、長ければ20年はかかるとし、最悪のシナリオを牽制する専門家もいる。

 しかし、Ciscoが独自に行った研究結果を見る限り、我々が考えているよりも早い時期に、最終期限が訪れるかもしれない。

 「現在のIPv4アドレス数の理論的限界は40億個だが、ネット接続される機器の実際の限界台数は2億5000万台だ」と、Ciscoのシステムマネジャー/エンジニアのUwe Fisherは指摘する。

 FisherはRFC3194を引き合いに出し、実際の限界が理論的限界を大幅に下回るのは、各国のアドレスの管理方法が原因だと語る。

 たとえば10桁の電話番号システムでは、理論上最大で10億台の電話に番号を割り振れるはずだが、いくつかの番号は使用せず保留しておく必要があるため、現実には番号を使い切るのは不可能という。

 Ciscoが2002年に実施したアドレス消費量の調査で、利用可能なアドレスのうちすでに3分の2が使用されており、残りのアドレスもわずか5年前後で枯渇することが明らかになった。

 ハンドヘルド機器、自動車、家電から飛行機に至るまで、インターネットに接続可能な機器の爆発的増加により、今後IPv4ベースのIPアドレスの不足は益々深刻化する、とFisherは警告する。

 またFisherは、アナリストの統計を引用し、2004年までに2000万台弱のPDAやタブレットPCといった小型機器が、インターネットに接続可能になると語った。

 各国政府も、事態の緊急性を鑑み、IPv6への移行を命じる方向に向かいつつある。ちなみに、FisherはCiscoのアジア太平洋地域および日本を担当するNSITE(Networked Solutions Integration Test Engineering)研究所のシステムマネジャーを務めている。

 Fisherによると、Ciscoはシンガポールの企業数社とIPv6の実験について議論しており、またNTTなどの日本企業数社も、シンガポールにあるCiscoのNSITE研究所で行うIPv6技術のテストに期待を寄せているという。Ciscoは今月2日に同研究所を公開した。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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