米BSA、マレーシア政府のソフトウェア価格統制策に反論

 「ソフトウェアの価格引き下げは、違法コピーを食い止める手段にはならない」。ソフトウェアの著作権保護を目的とした米国の非営利団体Business Software Alliance(BSA)は、マレーシア政府がソフトウェアの価格統制を検討していることに対し、改めて否定的な見方を示した。ちなみに、BSAのメンバーには、米Adobe Systemsや米Microsoftなどの大手企業が名を連ねている。

 BSAマレーシア支部の会長、Ajay Advaniは「ソフトウェアの違法コピーを抑止する最善策は、企業に継続的な教育を提供することだ。合法的なソフトウェアを社内で使用して知的所有権を尊重するべきであることを説き、長期的に 意識を変えていくことが重要だ」と語る。

 「違法コピーのソフトウェア利用が道徳的にも倫理的にも悪いことであることを、人々は認識する必要がある」(Advani)

 Advaniのこうした発言は、マレーシア政府の動きに対する牽制球といえる。同政府は、ソフトウェアをはじめ、CDやDVD、ビデオCD(VCD)などに対して、食用油や米などの食料品および生活必需品と同様に、価格統制を実施することを計画している。ソフトウェアベンダーや映画/音楽業界は、これに対し、何度も反対意見を示してきた。

 BSAのアジア太平洋地域担当ディレクターのJeffrey Hardeeは以前、インタビューで「違法コピーを抑止する手段として、製品価格を引き下げるのは断固反対だ」と語っている。「合法的なソフトウェアベンダーが、違法コピー業者と価格で張り合えるわけがない。彼らは、タダ同然で違法コピーを作成できるからだ」(Hardee)。また同氏は、ソフトウェア企業がこれまですでに、学割やライセンス割引などで価格引き下げを実施していることを強調した。

 現地のメディアによると、価格統制の法案を検討するにあたり、マレーシア政府は今週にも著作権を所有する企業と話し合いを持つという。同政府はこれまで「ソフトウェアなどの価格が高いことが、違法コピーを助長してきた」としており、先月には大臣の1人が、「ベンダー側が価格引き下げに応じるよう、合法的な製品をボイコットしよう」と呼びかける事態まで起きた。

 マレーシアは、インドネシアやフィリピンと同じく、違法コピーの温床と見られており、世界中の著作権保護団体は長期的な監視体制を敷いている。ちなみに、クアラルンプールでは、2ドル60セント程度で違法コピーのソフトウェアやVCDが購入できるという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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