ある電子メールセキュリティ企業によると、ジャンクメール業者が、ウイルスを撒き散らし、家庭用パソコンを介して匿名でスパムメールを送信しているという。
スパムメールとウイルスを遮断するサーバを運営する米MessageLabsが行った調査で集めたデータを分析したところ、大量送信されたジャンクメールの多くが、ウイルス付き電子メールを送信した過去を持つパソコンのインターネットアドレスからきているという。
「スパムメールとウイルスの関連性は高い。約3万台のコンピュータがオープンプロキシのソフトウエアを装備し、ウイルスをまき散らしている」(MessageLabsのスパム対策のシニア技術者、Matt Sergeant)
オープンプロキシは別名オープンリレーとも呼ばれ、発信元のソースやトラフィックを特定するアドレス情報を消し、電子メールやネットワークデータの再送を可能とするもの。MessageLabsが指摘する3万台のコンピュータは、迷惑メールやスパムメールの送信元として、同社が登録するオープンリレーのうちの14%を占めるという。
このデータが真実だとすれば、スパム対策に追い風となりそうだ。6月上旬、米連邦取引委員会は議会に対して、迷惑メールの調査と取り締まりを強化するように申し入れを行った。それに先立つ5月中旬には、米連邦取引委員会は海外の関係機関と共同で、電子メールを扱う1000サーバのオペレータに対して、オープンリレーを閉鎖するように警告文を発した。
スパムメールによる電子メールのトラフィックは、30%から75%に達すると推定される。MessageLabsによると、スパムメールの約70%がオープンリレーに分類されるサーバから送られているという。
しかし、オープンリレーとウイルスの関連について、疑問を投げ掛ける声もでている。セキュリティーソフトウエア企業の米Network Associatesのスパム対策のシニア技術者Craig Schmugarは、両者の関係は薄いと指摘する。「興味深いデータだが、スパムリレーとウイルスリレーを関連付けることが本当に可能なのだろうか。発信元のコンピュータがウイルスに感染していたことを証明するのは難しい」(同氏)。
さらに同氏は、ウイルスとオープンリレーの関連について、MessageLabsとは別の見解を示すことができると指摘。たとえば、ウイルスに攻撃されやすいコンピュータは、システムをオープンリレーに転じるプログラムをダウンロードしやすい傾向がある。また、14%の相関性という数字はそこから結論を導き出せるものではないとも強調した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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