第14回 創業仲間を集めるには?

コアメンバー(創業仲間)集め

 コアメンバー集め、これは非常に重要です。ひとりでできることは限度があり、自分の起業プランという「夢」を共有できる仲間をできるだけ早くから集めなければなりません。

 日ごろからの交友関係や、社内の人脈をつくっておき、自分とともに運命を賭ける起業ボートに乗ってくれる乗組員の候補をできるだけおおく保持しておく必要があるのです。そして、創業にむけて、血判状を交わすくらいの意気込みで、プランニングに入るのです。もちろん、共同で出資しあうこともよくある話です。着メロ関連ビジネスのフェイスは、創業メンバー4名で250万円ずつ出し合い、1000万円で創業したあと、大阪投資育成というVCからの資金調達で軌道にのせていったとのことです。

ひとりぼっちの起業もある

 もちろん、世の中には例外というのは必ずあります。たとえば、ソフトバンクの孫正義氏は創業直後、社員が誰もおらず、みかん箱の上にたってアルバイト2名を前にして10年後は1000億の会社にするのだ、と演説したという伝説が残っています。ついでにいうと、そんなホラにつきあってられんと、その2名のアルバイトもすぐ辞めてしまったとか。かくいう私自身も、出資者や社外取締役という協力者は得ることができましたが、あの1997年当時、インターネットでビジネスをやるというのは非常にリスキーにみえた時代で、誰も会社を辞めてまでついてきてはくれませんでした(その後の苦労は、連載の3回目に詳しく書きました)。

 しかし、やはりなるべく初期のときから、ともに苦楽をともにする創業メンバーを確保しておくほうがはるかによいのは間違いありません。特に、エンジニアの創業の場合、ビジネスに強い人間を確保するべきでしょう。後のVCからの資金調達時にもメンバーのできの良し悪しが出資決定に大きく影響します。

創業メンバーに入れば準起業家

 逆に、あなたが友人・知人の創業にかかわり、創業メンバーとして参画するなら、準起業家といってもいでしょう。いきなり自分の起業にすすむ前に、そのような機会をとらえて仲間に加わるというのは、その後の自分自身の起業にとって非常に有力な勉強になります。

 実際、「いずれ起業家になりたい」と思っている若い人にとって、創業期、あるいは成長期のベンチャー企業に入るというのは二重の意味で非常に有効な手段です。まずひとつは、ベンチャーというのはどういうところか、どうやって経営すればいいのかがわかります(時には反面教師にもなります)。ふたつめは将来そのベンチャーが成功したとき、創業期からのメンバーはそれなりにまとまった金がはいる可能性がおおいにあるという点です。

 もちろんそのためには、株式を購入するか、またはストックオプションをもらっておくことが条件です。仮にその会社が公開まで至らなくても、社内外でがんばって頭角を現せば、仕事を通じて創業資金の拠出者を見つける人脈ができる可能性が高いのです。日本のエンジェルの相当な部分は、ベンチャー成功者たちによって構成されているからです。

 創業メンバーのひとりが後に独立して起業家として名を成した人の例としては、西和彦さんのアスキー社の創業メンバーだった塚本慶一郎さん(インプレスを創業し、一部上場まで至る)がいます。サイバーエージェントの藤田晋社長も、インテリジェンス時代につくった営業実績で、同社の宇野康秀社長から創業資金を得ています。

(以下つづく)

「起業家というキャリア」は毎週木曜日の更新予定です。


筆者プロフィール
西川 潔
ネットエイジ 代表取締役社長
KDD、米国コンサルティング会社、AOLジャパン などを経て、98年2月、ネットエイジを草の根的に創業。 インターネットビジネスの企画・開発・運用を通じ、ビジネス インキュベーションおよび、投資業務を手がける。現在までに12のビジネスをおこし、M&Aで4社を売却。また、99年に 日本中を席巻したビットバレー構想の発案者でもあり、常に起業家主導経済の重要性を説く。東京大学教養学部卒

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