カナダのATI Technologiesは今週、「次世代グラフィックスを実現する統合型チップセット」(同社)の新製品を発表する見通しだ。業界アナリストは、同社がグラフィックスLSIとチップセットを統合したRS300ファミリの概要を明らかにすると予測している。
統合型チップセットは、独立型のグラフィックスLSIと比べ価格が大幅に低いため、低価格のパソコンを中心に急速に普及している。最近販売されているパソコンの約半分が採用しているという。統合型チップセットへの移行で最も利益を得ているのはIntelだ。Pentium 4を搭載したパソコン向けの統合型チップセットのうち、約60%をIntelが占める。
しかし、統合型チップセットの難点は処理能力だ。独立型グラフィックスLSIと比べて格段に劣るため、統合型チップセットを搭載した低価格のパソコンは、最新のゲームを楽しめないという欠点があった。業界アナリストは、RS300が既存のチップセットのグラフィックス性能を大幅に向上できると期待している。
米Goldman SachsのアナリストのAndrew Rootによると、RS300の登場はIntelにさほど影響を与えないという。しかし、台湾のVIA TechnologiesとSilicon Integrated Systems(SiS)のシェアに食い込む可能性がある。VIAとSiSはチップセット市場で合計約3分の1のシェアを占めている。「ATIは、優れたグラフィックス性能を武器に、VIAやSiSに攻勢をかけるだろう」(同氏)
ATIは昨年、統合型チップセット市場に参入したばかり。Intelや米Advanced Micro Devices(AMD)のプロセッサが主流を占めるデスクトップ/ノートパソコン市場に、統合型チップセットを売り込もうとしている。独立型グラフィックスLSI市場をリードする米Nvidiaも、チップセット市場でATIと競合している。しかしNvidiaは、AMDのAthlonを基盤とするチップセットの製造ライセンスしか保持していない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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