英ARMは米国時間6月16日、携帯電話の高速化・省電力化を実現する新たなプロセッサ命令セットThumb 2を、サンノゼで開催中の組み込みプロセッサ関連会議Embedded Processor Forumで発表した。Thumb 2はARMが1995年に発表したThumb命令セットを強化したもの。Thumbは全ARMアーキテクチャに組み込まれているサブセットである。またARMアーキテクチャは、市場に出回っている携帯電話向けプロセッサの多くが基本アーキテクチャとして採用している。
ARMの組み込みCPU担当マネージャーのRichard Phelanによると、「Thumb 2を利用したソフトウェアコードは、他のARMプロセッサのコードと比べて、約26%短い」という。「この結果、タスク完了までの時間が短縮し、バッテリー寿命を延長できる」(Phelan)
ただし、Thumb 2は万能な命令セットではない。Thumb 2で対応するのは16ビット命令のみだが、他のARMアーキテクチャはより複雑な32ビットに対応している。しかし、Thumb 2では一部の関数を高速ソートできるため、携帯電話設計者やソフトウェア開発者は、携帯電話の限られたメモリを有効活用することができる。
Thumb 2は、ARMアーキテクチャのアップデートで導入する計画だ。ARMアーキテクチャのアップデートは今秋発表を予定しており、「Thumb 2はその目玉となる」(ARM)。ARMは、新たなARMアーキテクチャをベースにしたプロセッサのリリースを、18カ月後と見込んでいる。
製品化までに時間がかかるのは、ARMのビジネスモデルによるところが大きい。ARMはプロセッサの設計は手がけるが、製造そのものは行わず、米Motorolaや米Intelなどのメーカーに設計図や知的所有権をライセンス供与する形をとっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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