ドイツのソフトウェアメーカーSAPが、米国時間6月12日から世界規模のキャンペーンを展開する予定だ。米Oracleが米PeopleSoftに敵対的買収を仕掛けている中、PeopleSoftとその合併相手である米J.D. Edwardsの顧客を取り込む戦略だ。
具体的には、世界の大手日刊新聞に広告を掲載する。特典割引やスムーズな乗り換えを謳い、動揺しているライバルの顧客を引きつける狙いである。米国では、6月12日発行のWall Street Journalに最初の広告が掲載されるという。
SAPのスポークスウーマンのLaurie Doyle Kellyは「先週からERP業界の買収合戦ニュースがあふれている。これらは顧客から見ればERP業界の不安定要素であり、自分たちの使用するERPソフトはどうなるのか、といった懸念を生みだしている」と語る。「このような人々に、SAPが代わりの製品を提供できることを知ってもらいたい」(Kelly)
アナリストらは「Oracleの敵対的買収が成功した場合、PeopleSoftの顧客は代替製品を探さなければならなくなるだろう」と語る。実際、Oracleの最高経営責任者(CEO)、Larry Ellisonは「(買収が成功した場合)PeopleSoftのソフトウェアを段階的に廃止する」ことをほのめかしている。PeopleSoftのスポークスウーマンのDee Anna McPhersonはこの件について「今の時点ではコメントできない」としている。
これまで波風の少なかったERP業界だが、最近では米Siebel Systemsの財政危機や、経営不振だったオランダのBaanが売却されるなどの騒動が続いており、顧客はどのベンダーを利用すべきか不安を感じているという。
「SAPはこのキャンペーンで、自らが安全なベンダーであることを高らかに宣言している。Oracleも、この不安定な状況の恩恵にあずかる可能性がある」(米Gartnerのアナリスト、Betsy Burton)
ただし、PeopleSoftやJ.D. Edwardsのアプリケーションで投資利益(ROI)を達成した企業は、ソフトウェアの乗り換えは行わないだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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