米Intelによると、チップ内の電流の流れを増加させる同社の未来派トランジスタ、「Tri-Gateトランジスタ」が完成間近という。
IntelでTechnology Manufacturing Groupのコンポーネント研究担当共同ディレクターを勤めるKen Davidは、Tri-Gateトランジスタについて、Intelが2006年以降も引き続きムーアの法則を追求していくために必要なツールの1つで、すでに同社の「先駆的な」開発ルートに乗っているという。つまりTri-Gateトランジスタは、2007年までにチップに組みこまれる予定の、ごく少数の新デザインの1つということだ。
「(Tri-Gateトランジスタは)研究段階から開発段階に入った。1、2年以内にアプローチを1つに絞り、それに集中していく」(David)。
Intelは、今週京都で開催中のVery Large Scale Integration (VLSI)シンポジウムで、チップへの無線組込み技術に関する別の論文とともに、トランジスタについての論文を発表した。
電力の利用は、いまチップ設計者たちにとって最大の課題の1つだ。ムーアの法則によると、チップ上のトランジスタの数は18カ月毎に倍増することになっており、これまではしばしばトランジスタを小型化することにより、それを達成してきていた。トランジスタは非常に小さなオン・オフスイッチで、一斉に計算を行う。
残念ながら、小型トランジスタでは電流が漏れるため、バッテリーの寿命は短くなり、さらにトランジスタ内には過剰な熱が発生してしまう。
Tri-Gateトランジスタでは、電流の流れを制御するゲートの表面積を拡張することで、この問題が解消されている。従来のゲートは平面で、電流は小川のように直接その真下を流れるが、Tri-Gateはトンネルのような形状で、電流はアーチの内側面を流れる。表面積が広くなる分電流が安定して流れるようになり、その結果性能の向上もしくは漏電の抑制、あるいはその両方の実現が可能になる。
Davidによると、すでにIntelは実験室で長さ30ナノメートルのゲートを備えたTri-Gateトランジスタを開発したという。現在同社は平均45ナノメートル(1ナノメートルは1メートルの10億分の1)のチップ向け新型トランジスタの開発を進めている。これらのチップは2007年に発売予定。しかし、現時点では、トランジスタのゲートの長さはまだ20ナノメートルという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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