IBMが、世界最速のスーパーコンピュータ開発を目指すプログラムの詳細を明かした。特殊な新プロセッサ設計や、Linux OS採用の可能性など、これまでにない特徴が盛り込まれている。
IBMの「Blue Gene」は、スーパーコンピュータの限界を押し広げる野心的なプロジェクトだ。このプロジェクトの最終的な目標は、1ペタフロップ(1秒間に1000兆回の計算)を行えるシステムの構築である。IBMでは、同社のBlue Gene/Pと名づけたマシンでこの処理スピード記録を達成できるものと期待している。現在最速のマシンであるNECのEarth Simulatorは、1ペタフロップの約30分の1程度のスピードで、今回計画が発表されたBlue Geneに比べると比較的遅いものだが、米国政府は、米国がコンピュータ業界における優位を日本に奪われつつあると危惧を抱いていた。
「Blue Geneは全く風変わりなマシンで、今までにこのような設計のものは存在しなかった。すべての部品やソフトウェアを特注でつくるというわけではないものが、現在販売されているものと比べると、かなり変わっている」とIlluminataのアナリスト、Jonathan Euniceは言う。
最初のBlue GeneマシンとなるBlue Gene/Lは、6万5000以上のコンピューティングノードからなるLinuxスーパーコンピュータで、IBMでは既に、Blue Gene/L用チップの構築を始めた、と同プロジェクトを監督しているIBMのDeep Computing Institute所長のBill Pulleyblankは述べている。各ノードには、プロセッサ2基、浮動小数点計算エンジン4基、メモリ4MB、5つのネットワークとの通信システムという、異様に大量の機能が詰まった小型チップが組み込まれている。
このBlue Gene/Lに加えて、「Cyclop」と呼ばれる第2の主要実験システムも採用された。これは、1枚のシリコン片に、最大64基程度という多数のプロセッサを彫り付けるもの。
Blue Geneの元々の使命は、DNAで記述された生化学上の構成要素の鎖が、どのようにしてヘモグロビンなどの巨大分子を構成するタンパク質になるのかを、物理法則を応用して予測するという、膨大な計算タスクを処理することだった。その後IBMでは、プロジェクトの対象範囲を広げ、地球の気候シミュレーションや金融リスク分析などにもBlue Geneを応用しようと目論んでいる。
「われわれは現在、幅広い応用目的をを視野に入れている」とPulleyblank。このような方針は、顧客が最終的に代金を支払ってくれるような技術を作り出すという、Blue Geneプロジェクトの目標のひとつを達成するためにプラスとなるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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