Hewlett-Packardは5日、Procter & Gamble(P&G)と30億ドル規模のITアウトソーシング契約を締結し、今後10年にわたってP&GのITインフラ全般の管理を行なっていく、と発表した。
この契約により、HPのサービス部門はP&GのデータセンターとITインフラを運営し、デスクトップおよびエンドユーザーのサポートや、ネットワーク運営監督を行なう。またHPは、P&Gが約160カ国で展開している海外事業向けのアプリケーションの開発・保守も行なう。HPは先月、この契約がまもなく最終合意に達しそうだと発表していた。
HPは、顧客のコンピューティングやネットワーク能力に対する要求が変化するのに応じてHPのさまざまな技術を提供する、Adaptive Enterpriseと名付けた新たな戦略を売り出しているが、今回の契約もその一例と位置付けている。なおIBMも、オンデマンド・コンピューティングという名で同様の戦略を打ち出している。
Adaptive Enterprise戦略は、6日に、今回の契約とは別に発表されたもの。この戦略は、企業がコンピュータおよびネットワークシステムにより柔軟性を持つよう調整するための、一連の新製品・サービスを網羅している。HPは、BEA SystemsやCisco Systems、Oracle、SAPなどのハイテク企業や、Accenture、BearingPointなどのコンサルティング会社と協力し、さまざまに変化するビジネスニーズに迅速に適応できるITサービスを提供していく、と同社では話している。
P&Gとのアウトソーシング契約では、HPはITインフラの管理に自社のUtility Data CenterとAdaptive Network Architectureを使用し、P&Gのニーズに応じてさまざまなレベルの機能と柔軟性を提供するという。
ITアウトソーシング契約は、全般的に低迷中の技術セクターのなかで活況を示している。アウトソーシングは、企業がアプリケーション開発や技術サポートなどをIT企業に委託する契約を指す。市場調査会社のGartnerでは、ITアウトソーシング契約の売上は、北米だけで2000年の1010億ドルから、2005年には1600億ドルに成長すると予測している。
しかしGartnerは、2003年のITアウトソーシングプロジェクトの半数は、クライアントが期待する価値を提供できないため失敗する、と警告もしている。
HPは、ITアウトソーシング分野で、IBMやElectronic Data Systems、Computer Sciences、Accentureなどの企業と競合している。
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