米SCO GroupのCEO、Darl McBrideは5月1日(米国時間)、Linuxの中核部分にUNIXのソースコードラインが不正に使用されていると非難した。そのままの形でコピーされているものもあれば、出所を隠すために修正が加えられているものもあるという。
このMcBrideの批判はオープンソース運動の法的/哲学的基盤の核心にまで深く切りこんでいるといえる。オープンソースコミュニティでは、開発者が互いに協力し情報を共有しながら、Linuxをはじめ数多くのプロジェクトを開発しており、独自に製品開発を行うMicrosoftなど大手企業の手法とは一線を画す。
オープンソース運動は、各プログラマーが独立した創造性を持ち、オープンソースならではの手法で、超大手企業が独自に開発したソフトウェアに対抗し得る製品を生み出してきており、参加者はそのことを誇りにしている。そのためMcBrideの主張は容易には受け入れがたいかもしれない。
しかし協力し合う手法が成功しているといっても、その手法が法的・技術的・文化的に健全であると企業が信頼できるよう、オープンソース運動側で証明する必要がある。この点について、法律事務所Gray Cary Ware & Freidenrichの知的財産権担当弁護士Mark Radcliffeは、「これこそオープンソース運動の弱点の1つだ。結局コミュニティの参加者を信頼するしかないわけだが、残念ながらオープンソースプロセスに関わる全ての人が、知的財産権を尊重しているわけではない」と指摘する。
オープンソースプログラミングは、プロセスが一般に公開される場合が多く、またオープンソースソフトのなかには、数百万行にも上るコードからできているものもある。それにも関わらず、「これまでコードの正当性については、特に大きな問題は生じなかった」と、米IlluminataのアナリストのJonathan Euniceは語る。 「(今回のMcBrideの批判は)オープンソースへのコードの不正使用が主張された初めての大きなケースといえる」(Eunice)
だが、Debian Linuxの元リーダーであり、オープンソースプログラマーの非公式なスポークスマンでもあるBruce Perensは、McBrideの主張は消費者の恐れ・不安・疑念を煽って、競合製品を購入させないようにするいわゆるFUD戦略だとし、逆に「コードのコピーはどちらからも可能であり、SCO UnixにLinuxのソースコードを使用していないという証拠を見せて欲しい」と反論する。
SCOの主張は、SuSE やRed Hatなど、独自のLinux製品を販売する企業にも影響を及ぼす可能性がある。Carr & Ferrellの知的財産担当弁護士John Ferrellは、Linux OSに著作権法で保護されたUNIXのコードが含まれている限り、Linux開発企業は著作権を侵害している可能性があると指摘する。Ferrellによると、著作権侵害者は侵害1件につき10万ドルの罰金が課せられ、さらに著作権者が被った損害を賠償しなければならないという。たとえこの問題が裁判で解決されたとしても、Linux開発企業は今後この問題に対処していく必要がある、とMcBrideは語る。「Linuxを今後幅広い方法で推進していくのであれば、まず知的財産権問題が解決されなければならない」(McBride)
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