米国時間の4月28日、Apple Computerの新しい音楽サービスがついに開始された。一曲99セントで、膨大な楽曲のなかから好きなものを選び、ネット経由でダウンロードできる同サービスは、いまのところ利用できるのがMacユーザーに限られている。ダウンロードした曲はCD-Rなどに焼いたり、iPodでMP3形式で保存、再生したりできるほか、3台までPCならばディスクへのコピーが許される。競合する他社の音楽サービスより制約が少なく、自由度の高い楽しみ方ができることが話題をさらっていた。
このサービスでは、ワンクリックで簡単に購入可能な仕組みと、Apple製のソフトウェアiTunes music jukebox、そしてiPodプレイヤーの3つを統合することで、従来の音楽配信サービスをしのぐと見られている。また、課金を容易にしたことで、アーティストや音楽会社からも大きな期待が寄せられている。
Apple CEOのSteve Jobsは、他の音楽サービスは違法コピーの恐れがあるため、しばしば利用者を犯罪者扱いしていたと指摘。しかし、Appleの今回のサービスが実現した背景には、これまで他企業が音楽業界に規制緩和を懸命に働きかけてきた成果ともいえる。一時は、ネット配信の与える影響の大きさを懸念して、音楽業界は強い規制で臨んでいた。しかし、最近では双方の業界が少しずつだが、歩み寄りを見せ始めている。ある音楽会社では、Appleの市場シェアが小さいことを踏まえて、「新しい音楽サービスは、小規模の顧客を相手にした実験的なものだ」と見ている。
Appleでは、音楽会社が得るメリットとして2つの点を訴求している。ひとつは、利用者が音楽を簡単に購入できること、もうひとつが楽曲データにデジタル著作権管理ソフト用のデータを組み込んでいる点だ。このデータは、iTunesやQuickTimeなどで再生された回数などをカウントする。しかし、このようなコピー防止機能では、すでにMicrosoftがWindows Media rights-management toolsで市場を支配下に置いている。ようやくQuickTimeにもプロテクション機能が備わったが、大きく出遅れていることは否めない。一方、音楽配信サービスを先行する企業もAppleを迎え撃つ。Radio Free VirginのZack Zalon氏は「Appleは優秀なソフトウェア企業だが、音楽配信業者としての経験は浅い」と強気な姿勢を崩していない。
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