シャープ(町田勝彦社長)の2002年度(03年3月期)の連結業績は、売上高が前年度比11.1%増の2兆32億1000万円、経常利益が同67.6%増の819億2000万円と増収増益となり、前年度の減収減益から大幅な増益に転じた。
液晶カラーテレビやカメラ付き携帯電話端末が大きく伸びたほか、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話に搭載されるCCD(電荷結合素子)・CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージャ、液晶デバイス、フラッシュメモリなどが好調に推移した。
この結果、期末配当を1円増配し、中間期7円、期末8円の年間15円とする。01年度の配当は中間期7円、期末8円の年間14円だった。
02年度の営業利益は前年度比35.2%増の994億6600万円、当期純利益は同188.2%増の325億9400万円だった。ただ、株価下落による評価損、売却損で296億円を特別損失に計上したため、819億2000万円の経常利益に対し、当期純利益は325億9400万円にとどまった。
部門別売上高の内訳は、液晶カラーテレビや携帯電話、家電、液晶カラーモニタ、パソコンなどのエレクトロニクス機器部門が前年度比5.7%増の1兆3464億円、CCD・CMOSイメージャ、フラッシュメモリ、液晶デバイス、太陽電池などの電子部品部門が同24.0%増の6568億1000万円となっている。
主な製品別の販売高は、液晶カラーテレビ(10型以上)が前年度比95.2%増の889億円、携帯電話・PHSが同54.2%増の2430億円、液晶カラーモニタが同22.8%増の205億円、液晶デバイスが同36.7%増の4252億円、フラッシュメモリが同18.5%増の863億円、CCD・CMOSイメージャが同127.8%増の304億円、太陽電池が同43.1%増の451億円などとなっている。
パソコンは需要不振と単価ダウンが響き、金額ベースで前年度比9.5%減の612億円、台数ベースで同6.5%減の42万9000台と振るわなかった。03年度(04年3月期)もそれぞれ同3.6%減の590億円、同2.3%減の41万9000台にとどまる見通し。
03年度の連結予想は、売上高で前年度比7.3%増の2兆1500億円、営業利益で同10.6%増の1100億円、経常利益で同22.1%増の1000億円、当期純利益で同53.4%増の500億円と、売り上げ、利益ともに過去最高を見込む。
来年1月に亀山工場(三重県亀山市)で、液晶からパネルまでの液晶カラーテレビの一貫生産ラインが立ち上がるほか、現在の天理工場(奈良県天理市)に加え、三重第3工場(三重県多気町)でも6月からシステム液晶の生産を始める。また、現在月間200万個のCCD・CMOSイメージャの生産規模を、6月に400万個、10月に600万個へと引き上げる計画。
中国を中心に感染者が拡大している新型肺炎、SARSの影響については、「当社の中国工場は上海や華南地域に片寄っており、今のところ問題は出ていない。ただ、今後感染が広がる可能性はあるだけに、物流や人員面で対策を練りたい」(佐治寛・専務取締役経理本部長)としている。同社の中国生産比率は世界全体の7%程度、金額にして1500億円程度と、他社に比べ依存率は低い。
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