米Intelは、通信装置向けにPentium Mプロセッサの出荷を開始した。通信市場で優位な立場を確保したいIntelにとって、重要な戦略の1つとなる。1万個ロット時の単価は、動作周波数1.6GHz版が625ドル、1.1GHz版が257ドル。
Pentium Mは、無線モバイル技術Centrinoの構成製品としてすでにCentrinoブランドのノートパソコンに組み込まれている。今回は通信装置向けのリリースとなる。VAN(付加価値通信網)、VoIPアプリケーション、音声メッセージングシステム、ファイアウォールなどが稼動する通信サーバの中枢として、「極めて重要な機能を果たすことになる」(Intel)。
フィンランドのNokiaのネットワーク機器製造部門、Nokia Networksは、「Pentium Mをネットワーク製品の一部に使用する予定だ」と述べている。カナダのQNXや、米Momentum Computerなどの企業も、Pentium Mを組み込んだ通信装置を製造する。
通信市場をターゲットとしたIntel製プロセッサにはすでにXeonなどがあるが、Pentium Mはこれらのプロセッサと比べて電力消費が低いのが特徴。標準的なサーバ構成向けに設計されたXeonは消費電力が35ワット以上だが、Pentium Mは最大定格電力が12〜25ワットである。
通信装置に組み込まれたPentium Mは、ノートパソコンに組み込まれた場合に比べ、様々な役割を担う。例えば通信サーバではパケット伝送の大半の処理をネットワークプロセッサが行うが、Pentium Mはこれらネットワークプロセッサを効率的に管理する。そのうえ、暗号化などを実行するセキュリティプロセッサとしても機能する。これに対し、ノートパソコンではデータの流れなどはあまり処理せず、表計算やゲームといったアプリケーションの動作に能力を費やす。
Intelが通信市場へ目を向け始めたのは、90年代の終わり頃。同社は1999年から2002年にかけて、35社を超える企業を110億ドル以上かけて買収しており、その大半が通信分野の企業だった。
なお、Intelは先月、Pentium Mに関して「ネットワークサーバのOSとして人気の高いLinuxでも、十分な動作を保証するよう試験中だ」と語っている。
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