米Hewlett-Packard(HP)は米国時間3月5日、データセンター向けの冷却システム、smart cooling solutionを発表した。HPによると、smart cooling solutionは同社研究所が開発したテクノロジーを利用しており、冷却コストを約25%削減できるという。
過熱したコンピュータはデータを損失したりクラッシュする可能性があるため、データセンターの冷却システムは必要不可欠である。しかしこれまでは、大型のエアコンを利用するなど、力まかせの冷却法に頼ることが多かった。
smart cooling solutionでは、まず企業のデータセンターを分析し、最良のコンピュータ機器配置や冷却方法を提示する。同システムは技術計算流体力学を利用し、ダクトやコンピュータ、デフレクターの複雑な配置から熱気の循環をシミュレーションする。
HPのサイトプランナー兼環境専門家のBrian Donabedianによると、同社は今後2年ほどで、第2世代の動的冷却システムdynamic smart coolingを提供する予定だ。dynamic smart coolingでは、冷却システムをUtility Data Center(UDC)製品と連結させる。UDCは演算処理をサーバやストレージシステムに分散し、作業負荷の増減に自動的に対応できる。UDC管理ソフトウェアを用いて、データセンター内の過熱していない場所で演算処理を行わせたり、冷却を必要とする場所に合わせてエアコンを調整する。このシステムに加え、温度センサーを搭載したHP製ロボットでデータセンターを巡回する。
すでに、デジタルアニメ制作スタジオのDreamWorksや、巨大スパコンを構築しているPacific Northwest National LaboratoryがHPの冷却システムの採用を決めている。
冷却方法の工夫が必要となった背景には、新しいサーバモデルの登場がある。初期のコンピュータは、搭載するプロセッサの数が比較的少なかった。しかし、現在のラックマウント型のブレードサーバは、約180センチメートルのラック1台に数十から数百ものプロセッサを搭載できるため、放熱量が大幅に増えた。また、より大型のサーバに複数のシステムを共存させる、サーバ統合技術を採用する企業が増え、集中コンピューティングモデルの普及が進んでいる。さらに、SAN(Storage Area Network)によって大型中央ストレージシステムの利用が高まったことも挙げられる。
長期的には、データセンターの空気循環の調整だけでは不十分となる。これに代わるテクノロジーとして考えられるのは、液体冷却システムだ。超高密度ストレージシステム、Collective Intelligent Bricksを開発中のIBMは、集中型液体冷却方法をすでに検討し始めている。HPでは、冷却が必要な部分に対応した、より小型の液体冷却システムも実現の可能性が高いとみている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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