米国では検索エンジン関連企業の合併が進んでいるが、今度はOverture Servicesが検索エンジン大手のAltaVistaを1億4000万ドル相当の現金と株式で買収する計画だ。
ポータルサイトの検索結果上の広告枠を販売しているOverture(米国カリフォルニア州パサディナ)はAltaVistaの技術を使って自社のサービスを強化する計画を米国時間の2月18日に発表した。CMGIが株式の大半を所有するAltaVista(米国カリフォルニア州パロアルト)はウェブをクロールしてユーザーの検索条件に関連した検索結果を表示する技術を開発している。
Overtureはその技術をYahooやMSN、AOL Europeなどの自社の顧客にライセンスするつもりだ。OvertureはまたAltaVistaのウェブサイトを新しい検索サービスや広告主向けの新しいマーケティング商品を実験する場所としても使うという。
「知っての通り、我々は自社の商品にアルゴリズムを用いた検索技術をどのようにして加えるかを昨年から検討してきた。アルゴリズムを用いた検索は高度な技術を要する。AltaVistaの買収は現時点で最善の選択だ」とOvertureのプレジデント兼CEOのTed Meiselは言う。
更に彼は「今は技術を自社の中に抱えるべき時期だ。そうすることで、我々は完全なソリューションをパートナーに提供できる」と付け加える。
OvertureはAltaVistaに対して、現在の価格にして8000万ドル分のOverture株と6000万ドル分の現金を支払い、AltaVistaの負債の何割かを引き継ぐ。Overtureは2003年第1四半期の業績見通しを変えるつもりはないという。買収手続きは4月に完了し、2004年の業績に反映される見通し。AltaVistaのCEO James Barnettは現職に留まる。
今回の買収はYahooによるInktomiの買収(InktomiはAltaVistaの競合にあたる) に続くものだ。YahooやOvertureなどの大手検索プロバイダは、オンライン広告の鍵は検索エンジンになると見ている。ユーザーに広告付リストをクリックしてもらうため、YahooとOvertureはライバルのGoogleよりも高速かつ適切な検索結果の表示に力を入れている。
Overtureは近年、Inktomiのアルゴリズム検索結果を用いた広告検索リストを拡大していた。AltaVistaを買収することでInktomiの代わりに使うことができる上、アルゴリズム検索を売りにできる。Overtureはアルゴリズム検索サービスのシンジケートとなる計画を語っている。また、Inktomi買収案を掲げるYahooなどの検索サイトと協力することも狙っているという。
投資家との会合においてMeiselは、AltaVistaがOvertureに更なる利益をもたらすだろうと述べている。AltaVistaの買収で、Overtureはペイ・パー・クリック広告を強化する計画だ。具体的には、検索リストへの表示を保障するAltaVistaのペイド・インクルージョン広告をオプションとして提供する。これにより広告主は、より頻繁にAltaVistaの検索結果に自社サイトを表示させることができる。
AltaVistaにとってこの買収は、思わぬ天の恵みとも言えそうだ。ドットコムバブルの崩壊以来、AltaVistaはかつて検索エンジンの中心として君臨していた過去の栄光を取り戻せずに苦しんでいた。昨年AltaVistaはサイトのデザインを一新し、ペイド・インクルージョン広告に力を入れることで広告収入の低下を取り戻そうとしていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス