手を噛む奴には餌をやるな。
米Yahooが、検索エンジンの落ちこぼれ、米Inktomiの買収を決断した背景には、こんな米Googleに対するけん制の気持ちがあったのかもしれない。Inktomiは、検索エンジンの旗手、Googleの高まる脅威に直面していた。
今回の買収は、Inktomiにとって屈辱的なものといえる。Inktomiは1998年からYahooに対して検索技術を提供していたが、2000年6月にその座をGoogleに奪われていた。
Inktomiの買収は、Googleとの力関係において、非常に厳しい立場に追い込まれているというYahooの気持ちの表れかもしれないのだ。
YahooがGoogleを買収するという報道は、噂の域を越えたことがない。しかし、Yahooにとってはそちらの方が、失速したInktomiを買収するより、競争力と技術的な観点においてはるかにましなのである。(Inktomiはかつて最大手の1社と数えられたが、先月、法人向け検索事業を2500万ドルの現金取引で売却した。)
「確かに、Googleを買収した方が、どれだけYahooの将来にとって効果があることだろう。しかし、Googleがそれを望まないだろう」と米Jupiter Researchのアナリスト、マイケル・ガーテンベルグ (Michael Gartenberg)は指摘する。「Yahooは今、『Googleと競争しないといけないのならば、相応の兵器と装備が必要だ』と言っている。しかし問題は、検索市場で競争を始めるには、Yahooの行動は遅すぎるのではないのかということだ。個々の検索を行うには、ディレクトリーを探すよりも、Googleの検索の方がさまざまな局面で便利だからだ。」
友人から敵へ
Yahooは長い間、消費者から検索エンジンそのものだと誤解されている。実はYahooは、大規模な演算法を用いたバックエンドの検索技術を独自に持ったことがない。Yahooは、ウェブサイトのディレクトリーを編集することで名前を売り、十分なサービスとコンテンツをかき集めて“ポータル”サイトというコンセプトを開拓した。検索技術はいつも外注してきたのである。
Yahooが初めて提携した検索プロバイダーは米AltaVistaだった。1998年にInktomiがYahooとの契約を獲得したが、2000年の6月にはGoogleに取って代わられた。その時、Inktomiの株は急落して113ドル(現在は約1.50ドルで取引)を記録した。
しかし、GoogleはYahooと提携している間に、まるでYahooなどのポータルサイトの競争相手であるかのように振る舞いはじめた。Yahooなどのポータルサイトが提供していた機能を、一つ一つGoogleでも搭載するようになったのだ。
直近では、Yahooなどのポータルサイトからトラフィックを確実に奪うであろう機能を、Googleは追加した。幅広く評判を得ている自動のニュース集計サービスとショッピング比較サービスだ。
Googleはじわじわと変貌を遂げ、いつの間にか、Yahooなどのポータルサイトがたちうちできない人気を獲得し、同業他社に脅威を与える存在となったのである。
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