ソフト販売のイーフロンティアの安藤健一社長は、本紙の取材に対し「Shade(シェード)事業の継続に経営資源を集中する」考えを強調した。「Shadeの弱点は、販売先の大半が国内だけに限られている点。欧米や東アジア市場へ拡販することで、事業の立て直しを図る」と意気込みを見せる。
Shadeは、今月1月20日、約16億円の負債を抱えて事実上倒産した開発元のエクス・ツールス(坂井一也社長)の主力CG(コンピュータグラフィック)制作ソフト。同日付けで営業権をイーフロンティアに譲渡すると発表し、Shade存続をイーフロンティアの安藤社長に委ねる方針を打ち出した。
しかし、年商約20億円、社員数約50人の中堅ソフト販売のイーフロンティアが、ほぼ同等規模のシェード事業を吸収するのは容易なことではない。安藤社長は、「エクス・ツールズの経営が苦しいということは、昨年後半から感じていた。だが、実際にShadeの営業譲渡の話しを聞いたのは民事再生手続を始める前日で、坂井社長から即答を求められた」と話す。
安藤社長は、Shadeのブランド力を消滅させないために、「譲渡を受ける」と回答したものの、実際は、傾きかけたShade事業を立て直す具体的な策がないままの回答だ。エクス・ツールスの坂井社長は、「昨年11月、12月と卸売りベースで前年比の半分まで売り上げが落ち込んだ。これにより、資金繰りが悪化し、事業存続が困難になった」と話す。
これに対して、イーフロンティアの安藤社長は、「Shadeの弱さは、販売先のほとんどが日本国内に限られていることだ。CG需要の多くは広告制作にある。国内の景気が悪化すると、CG需要も連動して低下する。このリスクを避けるために、今後は、北米、欧州、東アジア市場へ、積極的にShadeを拡販することで、同事業の立て直しに全力を注ぐ」と話す。
イーフロンティアは、Shadeとは別の事業で、昨年12月、中国・上海に現地法人を設立しており、これをアジア地区のShade拡販の拠点に使う。北米や欧州への販路は、これから開拓する。Shadeの継続的な開発や世界展開にかかる費用は、少なく見積もっても数億円から数十億円の資金が必要になる。
Shadeの営業譲渡の金額やShadeに対する今後の投資額、エクス・ツールスの社員の受け入れ枠については、「まだ明らかにできない。今、事業計画を練り直している最中」と明言を避けた。
イーフロンティアの安藤社長は、99年に起業するまでの約3年間、エクス・ツールスに勤めていた経緯があり、Shadeには“思い入れ”がある。起業してからも、Shadeの卸売りを手がけており、Shade全体の出荷数のうち約2割を占めるボリュームを占める。エクス・ツールスの坂井社長は、すでに会社を清算することを明らかにしている。
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