米IBMのソフトウェアグループを統括するSteve Millsが米国時間1月23日、LinuxWorld Conference & Expoで基調講演を行い、Linuxの展望について語った。
「Linuxは定着した。今やインフラの奥深くにまで組みこまれている。Linuxの成長はとどまるところを知らない」(Mills)。MillsはLinuxが、米Sun MicrosystemsのSolaris、IBMのAIX、米Hewlett-PackardのHP-UXといったハイエンドのUNIXに近付いてきたと指摘する。
同氏によると、現在IBMが抱えるLinux関連の顧客企業数は4600社。こうした企業は同社からサーバ、ソフトウェア、サービスを購入している。同社は21日に、Linux関連事業の収支を発表した。それによると、2002年におけるLinux事業の売上高は15億ドル超となり、同事業全体で黒字となった。なお同社がLinux関連の取り組みで2001年に投じた額は10億ドルである。Millsによるとその額は今後も増え続けるという。「投資は続いているし、その額も増大している」(同氏)
IBMの社内に目を向けてみる。同社は自社内で1100台のLinuxサーバを運用している。Millsによれば、現在も社内の多くのサーバがWindowsサーバやOS/2サーバからLinuxに移行しているという。
Linux関連の事業に携わる社員の数は5000人に及ぶ。そのうちLinuxカーネルに関する70のプロジェクトに、250人を超えるエンジニアが従事している。さらにIBMは、同社向けLinuxソフトウェアの開発企業に対して多額の投資を行っている。
なぜIBMはLinux支持に回ったのか。Millsは「顧客の声に応えた結果だ」と説明する。「オープンスタンダードやプロプライエタリーなシステムに導入可能な技術を望む顧客が増えている」(同氏)。かつて、こうしたアプローチはIBMでは主流ではなかったという。しかしIBMは、ベンダー主導型の製品戦略を展開した結果、顧客に背を向けられたという苦い経験がある。同社はそうした過去の失敗から学んだという。「あれは我々の目を覚ます大きなきっかけとなった。市場のけん引役はすでにベンダーから消費者に移っていたのだ」(Mills)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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