連邦裁判所のJohn Bates判事は米国時間1月21日に、米Verizon Communicationsに対し、ピアー・ツー・ピア(P2P)のファイル交換サービスKaZaAのユーザー名を米国レコード工業会(RIAA)に開示するよう命じた。
この判決は、1998年に制定されたデジタルミレニアム著作権法(DMCA)512項に基づいて下された。DMCA512項は、著作権保持者が違法サービス利用者の個人情報を開示するよう、インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)に召喚状を発することができるというもの。召喚状の発行に判事の承認を得る必要はない。
今回の判決が上訴審でも支持された場合、音楽会社側は訴訟を最初に起こさずとも、音楽ファイルの違法コピー者の身元を特定する権力を持つようになる。これにより、音楽会社がこれまでためらっていた、個人に対する訴訟につながると見られる。
Verizonは、ISPにはDMCAが適用されないと主張していた。ISPはP2Pユーザーをつなぐ役目を果たしているに過ぎず、自社サーバに違法コピーのファイルを置いているわけではないというのがその根拠だった。また、電子フロンティア財団、電子プライバシー情報センター、全国消費者連盟をはじめとする多数消費者団体やプライバシー保護団体は、昨年の8月に法廷助言者による意見書を提出しており、DMCAの512項は表現の自由を保障する憲法修正第1条に抵触していると主張していた。
また、米国インターネット業界組合や米Yahoo!などが提出した意見書では、RIAAが著作権保護の施行の重荷をISPに押し付けていると批判している。
一方、米国映画協会(MPAA)は意見書で、「MPAAが制作、配給する映画も、絶えずインターネットの海賊行為による盗用の被害に遭っている。DMCAの履行を保護することが被害の対策法として最も重要だ」と述べ、RIAAと同様の立場を取っている。
Verizonは米コロンビア特別巡回控訴裁判所に上訴する構えである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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