「景気低迷やイラク問題などが懸念される中、2003年におけるアジア太平洋地域のIT・通信業界は高い成長が見込まれる」と米市場調査会社International Data Corp(IDC)は予測する。
IDCのアジア太平洋マネージング・ディレクター、ピューシュ・シン(Piyush Singh)氏によると、アジア太平洋地域(日本を除く)のIT市場は今年、11%の成長を記録し、810億ドル規模に達するという。インフラ整備の拡張が大規模に行われることが主な要因だ。またパソコンや、低位サーバー、中位サーバー、LANといったハードウェア市場が活性化するとも予測している。
今年特に注目を集めるものとしては、機能集約型の携帯端末、NAS(networked attached storage)、デジタルイメージング、デジタルプリンティング、無線LANといった製品を挙げている。
ソフトウェアやサービスの分野では、大規模な開発案件よりも小規模な案件が増えるだろうと分析する。米国企業からの受注が増えているインドのサービス大手Tata Consultancy ServicesやInfosysなどがコスト削減の波に乗って、世界的に重要な企業へと成長するとも予測している。
2003年におけるIT・通信業界 (IDC予測)
各市場で高い成長が見られる
IT関連支出
800億米ドル
インターネットコマース
1500億ドル
通信サービス
1350億ドル
携帯電話出荷台数
4億台
PC出荷台数
1億台
インターネット利用者数
1億6500万人
モバイルインターネット利用者数
2500万人
出典:IDC Asia-Pacific(日本市場は除く)
さらに、アジア太平洋地域ではLinuxの導入が進む。とりわけ高性能コンピューターの分野ではLinuxクラスターが信頼を集め、UNIXの対抗馬になるという。
また、IDCは通信市場についても楽観的な見方を示している。
「通信サービス市場は、発展途上国における規制緩和と需要の急増がけん引役となり、その成長の勢いは止まらないだろう」とシンは説明する。「通信サービス市場は、前年比で11%の成長を記録し、1370億ドル規模に達するだろう。」
VoIP(Voice over IP)サービスにも弾みがつくと同氏は見る。企業がVoIPに高い関心を寄せているためだ。また、ブロードバンドは価格の下落と競争激化、オンラインゲームのブームが要因となり、引き続き増加の一途を辿ると予測している。
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