ブロードバンドの市場競争でUターン現象が起こっている。米Yahooや米MSNに加え、今や米America Online(AOL)も、高速インターネット接続サービスを独自で提供するという当初の計画から、『ベビー・ベル(Baby Bells)』と呼ばれる有力な地域電話会社に自社のブランドを貸すという提携戦略へと転換しようとしている。
景気悪化に加え、“専用線”サービスの回線を借りることに嫌気がさしたAOLなどのプロバイダーは、自社のインターネットサービスや製品をパッケージ化し、それをベビー・ベルなどのネットワークパートナーが運用するサービスのフロントエンドとし、顧客に提供しようと考えている。
AOLは先月、YahooやMSNに続き、こうした傾向に沿った計画を発表した。来年、この手のISPと地域電話会社との提携は急増しはじめ、業界の急成長に拍車がかかるだろう、とアナリストらは言う。ブロードバンド業界ではコスト高が、プロバイダーと消費者の双方にとって負担になっていた。
「2003年は、インターネットのブロードバンド接続がさらに拡大する大きな転換点となる年だ」と米Guzman & Companyのアナリスト、デビッド・ジョイスは言う。
消費者への影響は未知数な部分もあるが、AOLや米MicrosoftのMSNなど、ダイアルアップサービスを提供するISPにとっては良くない兆候だ。彼らは来るべきブロードバンド時代において、単なるわき役で終わってしまうかもしれない。
しかしながら、ISPやウェブポータルは提携を結ぶことで、ケーブルネットワークやベビー・ベルが頑なに閉ざしていた領域に即座に足を踏み入れることができる。ケーブルネットワークとベビー・ベルは、家庭に高速インターネット接続を引き入れるために必要な回線のほとんどを所有しているのだ。一方、ネットワークを所有する企業はISPと手を組むことで、伸び悩みに苦しんでいる高価格サービスのマーケティングを強化できる。
このブランド貸し戦略は、AOLやMSNといったISPにとって、大きな転換を意味する。かつては専用線を巡って、ケーブル会社やベビー・ベルと真っ向から勝負するつもりだったからだ。しかし、当初の計画が立ち行かなくなった今、専用線事業に積極的に取り組んでいる米国の大手ISPは米EarthLink1社だけとなった。
このような報道に対して、AOL、Microsoft、Yahooはコメントを避けている。また、EarthLinkは回答できないとしている。
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