「5年後には中国での売上が日本を抜く」--フリービット、中国市場に賭ける思い

永井美智子(編集部) 吉澤亨史2010年02月23日 18時18分

 「5年後には中国での売り上げが日本を抜くくらいでないと、中期目標を達成できない。5年後は中国がヘッドクォーター(本部)になるくらいでないと勝てないだろう」――フリービット代表取締役社長 CEOの石田宏樹氏は、中国市場に賭ける思いをこのように語る。

 フリービットはこれまで国内ISPの支援事業などで成長してきた。新たな成長市場として力を入れているのが中国市場だ。2006年にはネットワークの監視、運用センターである「SiLK NOC」を江蘇省に設立。2009年には中国のコンサルティング大手である北京天地互連(BII)と戦略的提携関係を結んでいる。

 フリービットが狙うのは、中国のIPv6市場だ。人口の多い中国では、IPv4アドレスの枯渇が課題になっている。石田氏によると上海では1アドレスに1万6000円の値段がついているといい、「アドレスの枯渇を見据えた料金になっている」とのこと。フリービットは仮想化技術を使い、IPv4ネットワークからIPv6ネットワークへと接続できる技術をBIIとともに中国市場で展開する計画だ。

100223_freebit.jpg 握手を交わすBIIの劉東氏(左)とフリービットの石田宏樹氏(右)

 具体的には、「六飛(liufei)」というサービスをBIIとの合弁会社である北京天地互連飛比特網絡科技(FBII)が提供する。政府のほか、中国電信(China Telecom)などに向けてライセンス販売する考えだ。フリービットによると、このほどFBIIは北京市当局から営業許可証の発行を受け、法人として設立されたという。

 「中国電信は、2011年3月末までにIPv4アドレスが1700万程度足りなくなるという予測をしている。また、実際に機器ベンダーなどに対して、IPv6への対応を必須条件として要請している」とBII代表兼CEOの劉東氏は話し、IPv6市場には大きな可能性があるとした。中国電信はIPv6化への候補技術の1つとして、六飛を評価対象に選んでいるという。

 石田氏は中国市場での売り上げについて、「2010年度は売り上げの10%くらいになるだろうが、2011年度には100億円規模にしていきたい。今後、日本市場が縮小していくことを考えると、掲げた中期経営目標(2011年度に売上高300億円)などを達成していくには、中国市場での売り上げが日本を抜くくらいでないといけない」と意気込む。

 「日本では売り上げの70%を占めるISP支援事業で約100万人のユーザーがおり、ARPU(ユーザー1人あたりの利用額)は数百円の下のほう。一方、中国では、ユーザーが毎月100万人規模で増える。たとえARPUが日本の10分の1でも、毎年日本と同規模の売り上げが増えていく計算だ」(石田氏)

 「中国市場にしっかり入れれば、誰も見たことのない規模感がある」と石田氏は話し、積極的に投資しながらBIIとともに中国市場を開拓すると話した。

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