複数のWeb APIを組み合わせて開発したマッシュアップアプリケーションのアイデアを競う「Mashup Awards 6」の受賞者が2010年12月4日に発表された。最優秀賞には、上田哲郎氏の「育児日記EmiriSystem」が選ばれ、賞金100万円が贈呈されたほか、優秀賞4作品、テーマ賞12作品、特別審査員賞などが決まった。今回で6回目となる同イベントには544作品(前回は346作品)が寄せられた。
育児日記EmiriSystemは、育児専用の日記システム。上田氏の長女が2001年に誕生したことが契機となって開発を始めたという。会員登録すれば、ウェブ上で簡単に、文章や画像、動画を用いた育児日記を作成できる。日記は写真カレンダーに整理され、時間をさかのぼってカレンダーを見ることができるだけでなく、ウェブ上のイメージをそのままCDに保存することもできる。
また、PDFやEPUBといったフォーマットでの出力や、Picasaを介してデジタルフォトフレームと連携することも可能だ。PCのほか、携帯電話やiPhoneからも利用できる。現在、世界23カ国にわたり、3300人が利用し、収録されている写真は370万点、動画は6万本に達しているという。同日開催された授賞式で上田氏は「娘が生まれたことが開発のきっかけだったので、家族に感謝したい。育児は人類永遠のテーマであり、それを支援できるサイトを作ることができ、幸せだ。今後はAPIを提供する側になっていきたい。育児のために利用できるAPIがもっと広がっていけばよい」と受賞の感想を語った。
審査員でグーグル エンタープライズ部門 プロダクト マーケティング マネージャーの藤井彰人氏は育児日記EmiriSystemについて、「審査員から圧倒的な支持を得た。さまざまなマッシュアップがなされ、完成度が高いと感じられた。コンテンツの収集力もすばらしい。今後、プラットフォーム化するのではないか」と評した。
優秀賞に選ばれたのは4作品。テリトリチームが手がけた「テリトリ」は、位置情報をもとに陣取りゲームを楽しめるスマートフォン向けサービス。クロスフェーダーの「Twiccha」は、Twitterアカウントを利用したチャットサービス。カヤックのiPhone向けアプリ「安心レーダー」は、登録した相手の位置を確認できるというもの。tsuka_pan & sgssの、「Tag Tansu: 洋服とWebをつなぐマッシュアップ・クローゼット」は、センサーカメラを内蔵したタンスのフックに洋服をかけるだけで、洋服のデータベースが自動作成されるというもの。優秀賞にはそれぞれ賞金10万円が贈呈された。
また、経済評論家の勝間和代氏と歌手の広瀬香美氏、プログラマーでブロガーとしても知られる小飼弾氏が特別審査員として、「特別審査員賞」を選定、勝間和代氏の「勝間和代の人生戦略賞」には、Open Innovation Labの、ソーシャルTODOサービス「YARUKIDAS-ヤルキダス- モチベーションが加速するソーシャルTODOサービス」が選ばれた。勝間氏は「(これをしようと)人に宣言すると、ちゃんと実行できるというサービス」と評した。小飼弾氏の「404 API Not Found賞」には、横山彰子氏のオンラインコード共有ツール「オンラインコード共有ツール Codetype」が選ばれた。小飼弾氏は「地味なようだが、マッシュアップらしい作品だ。マッシュアップは気軽に作ってほしい」と語った。
広瀬香美氏の「Smile music Application賞」には、伊藤淳一氏によるウェブデスクトップアプリケーション「gadgetOS」が選ばれた。広瀬氏は「とても丁寧に作られているアプリケーションだった。私も使い方を教わって、本格的に使えるようになれると良い」と話した。広瀬氏は、伊藤氏への歌のプレゼントということで、「Friday Kohmi」「Dear」の2曲を熱唱、授賞式を盛り上げた。
設定されたテーマごとに決定される「テーマ賞」は以下の通り。このほかにも協力企業賞などが選ばれた。
アワードを主催するリクルート メディアテクノロジーラボ 局長の木村稔氏は、全体の講評として「今回は、前回より5割も多い544作品の応募があった。マッシュアップに挑戦してくれた大勢の方に感謝したい。今回は、応募作品の傾向が、やや変わってきたようだ。2009年はサービスが主流だったが、2010年は、日常に使えるようなツール類が増え、大変身近なものに近づいてきており、喜ばしい。今後も、生活をより豊かにするものをつくっていけるように、企業も開発者を応援していきたい」と述べた。
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