スマートフォンやタブレットをはじめ、新しいネット接続デバイスが次々と登場し、ソーシャル系を中心としたサービスもどんどん生まれている。そして、こうしたデバイスやサービスを使いこなし、ユーザーコミュニケーションの輪は広がるばかりだ。
こうした中で、広告やマーケティング手法もあの手この手と変化し、その効果をいかにはかり、見極めるかが非常に重要になってきているのは周知のことだろう。
そこで、インターネット利用状況を調査しているビデオリサーチインタラクティブ(VRI)の代表取締役社長に6月16日付けで就任した五十嵐達氏に、今後の事業展開や注目しているネットビジネスなどについて話を聞いた。
我々のミッションは、インタラクティブ領域におけるメディアの媒体価値を高めたり、広告効果を最大化、最適化したりするための業界標準データの整備、あるいはそのソリューションを構築して提供していくということです。それは、インターネットに限っているわけではなく、会社名が示すようにインタラクティブ領域を広く俯瞰していかなくてはならないと思っています。こういう活動を通じて、企業のコミュニケーション活動やマーケティング活動に貢献していくというのがポリシーです。
iPadをはじめ、どんどん新デバイスが登場していますが、こうした分野も手がけていかなくてはならないと考えています。ただ、闇雲にやってもマーケットがまだ成熟していなかったり、広告市場が大きくなかったりということもあるので、その辺は動向をウオッチしながらになりますが。
特にこのインタラクティブ業界は、次々と新しい企業が新しい事業に参入してきますし、先行優位の法則というのもあるので、当社は、ビデオリサーチグループとして、メディアのメジャメントに関してはコミットしていかなければならないと思っています。舵取りを見誤らないようにタイミングを見計らいながら、どのように取り組んでいくべきかを日々研究しています。
携帯電話については、昨年からNTTドコモのiモードユーザー、今年からソフトバンクのYahoo!ケータイユーザーのモバイルインターネット視聴データ「Mobile Media Measurement(M3)」を提供しています。本当は、タイミング的にはちょっと早いかな、とは思っています。
それは、広告市場として伸びてはきていますが、我々が提供しているPCインターネット視聴データが潮目になった時期から考察すると、もう少し市場規模が拡大したところで開始した方がデータの必要性は高まるはず、という読みがあったからです。とはいえ、普及率の高さからモバイルメディアに関するメジャメントデータを求める声も強く、また実際には流通していなかった類のデータであることの優位性を背景に、先行してローンチしました。
実際の視聴データをみてみると、日本マクドナルドの「トクするケータイサイト」のリーチの高さが再認識できたりして、結構目から鱗のデータの宝庫になっています。
スマートフォンについては、当然手がけたいと思っていますが、まだまだ普及台数という意味では国内で1千万台レベルに達していずまた広告市場の規模感から、ビジネス的にどうかなと思っています。しかし、我々もお客様も非常に関心は高い領域なので何かしら取り組んでいきます。
現在はサイバー・コミュニケーションズ(cci)と一緒にプロジェクトを組んで、スマートフォンのさまざまな動向調査をしています。つい先日(10月28日)には、iPadユーザーの動向調査の結果も発表しています。
スマートフォン利用者のサイト利用動向は計測しようとすればなんとかなりそうですが、むしろアプリの利用動向を把握しようとすると難しい面があります。アプリ内広告のニーズは高いので、今後はそうした広告の出現状況や効果測定などに取り組んでみようと考えてます。
どのタイミングかは言えませんが、やはりクロスメディアをかなり意識しています。インターネットだけを考えても、まずはPCや携帯電話、スマートフォンをそれぞれ単独で考えるというよりも、マルチデバイスでデータを取得できるようなものが構築できればいいなと考えています。
さらに電子書籍とかデジタル雑誌、radikoのようなIPサイマルラジオなど、いろいろなトラディショナルメディアがどんどんインターネット化、インタラクティブ化しています。そして、ソーシャルメディアを利用する動きも加速する中で、とにかくコミュニケーション活動のパラダイムシフトが起きていて、それに対応するために我々は何をやっていくかというのを真剣に考えていかなければならないでしょう。
もう1つ、何だかんだいってもテレビは影響力があります。リーチの力も強い。3大SNSがテレビCMを積極的に流していることからも裏付けられるでしょう。テレビ、PC、モバイル、タブレット端末、デジタルフォトフレームなど、こうした多様なデバイスやスクリーンによるコミュニケーションの効果や影響をどのように示せるかに注力していきます。
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