一般に競売業者は、自らの主催するオークションに入札することは許されていない。この件についてGoogleだけが例外となどということがあり得るだろうか?
サンタクララ大学法学部の准教授、Eric Goldman氏はこんな疑問を抱き、米国時間8月18日に自身の個人ブログと「Search Engine Land」に小論文を掲載した。その内容は、「AdWords」のキーワードオークションに入札してGoogle製品を宣伝する「自社広告」を掲載するのをやめるよう、Googleに対して求めるものだ。Google自らによる入札は、同じキーワードで入札しようとしている他の広告主にとっての検索広告の価値を歪めており、Googleが不正を行っていないかを把握することもできないと、Goldman氏は指摘している。
「ゆえに、Googleが自社広告を掲載すると、オークションを行いながら、同時にそのオークションに自社が入札していることになる。許されない利益背反だ」とGoldman氏は書いている。
Googleは今後も時折、自社の製品やサービスを宣伝するAdWords広告(いわゆる自社広告)を検索結果とともに掲載していくようだ。また、広告枠を購入して、慈善事業や公共サービスに関する広告を掲載したり、おかしな、あるいは不快感を与える検索結果が出た場合の説明などを行う予定だ。これには、2009年に「Michelle Obama」というキーワードでGoogleで画像検索を行った場合に表示される検索結果について、広告スペースを使って説明した例がある。
検索広告の掲載は、広告主が設定するクリック単価と広告の品質という、2つの要素の組み合わせによって決定される。品質スコアと広告主が設定する料金についてGoogleはあまりに多くの知識を持つ立場にあるため、通常はこうした情報への入手経路を持たない他の広告主と同一のオークションプロセスに参加することは不公平にあたると、Goldman氏は主張する。
GoogleはGoldman氏に対し、自社広告の掲載を望む各部門は特別な知識を持つことなく、他の広告主と同様に入札しており、広告料金も各部門のマーケティング予算から支払うことになっていると説明している。この説明の通りかもしれないが、Google自体がオークションに参加するというだけでも無視できない利害の対立だとういうのが、Goldman氏の見解だ。
Goldman氏はGoogleに、自社ホームページに「Chrome」や「Nexus One」の広告をホームページに掲載した際のように、特別な広告単位を利用して自社製品の宣伝を行うか、せめて自社広告に利用したいキーワードについては他の広告主が入札できないような措置を執るよう求めている。同氏による小論文は興味深い内容で、全文を読むことをお勧めしたい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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