カリフォルニア州ランチョ・パロス・ベルデス発--Steve Jobs氏は当地で開催のD: All Things Digital(D8)カンファレンスで、最新の「iPhone」をさっと取り出すこともなければ、次に「i」がつくカテゴリがどれかを教えてくれることもなかった。しかし、Jobs氏の発言からは、この象徴的な最高経営責任者(CEO)が業界の方向性をどう考えているのかを垣間見ることができた。
Jobs氏は米国時間6月1日、D8カンファレンスで1時間半にわたって語った。その中で同氏は、いずれ従来型のコンピュータを必要とする人はわずかに数人に1人になると述べている。
「例えば、この国が農業国だったころは、車はすべてトラックだった。農場で必要なものだったからだ」と同氏は言う。都市部が広がるにつれて乗用車が普及し、さらにパワーステアリングやオートマチックトランスミッションが広まった。
Jobs氏は、「PCはトラックのようなものになるだろう」と述べる。同氏は、「PCはすぐにはなくならない」と考えるが、「PCを必要とする人は何人かに1人」だけになるとしている。
Jobs氏は、動画の編集やグラフィックアートの制作など、現在は従来型のコンピュータでしかできない作業が、チップやソフトウェアの進歩によって、「iPad」のようなタブレットデバイスでも可能になると述べた。
「われわれはPCを長い間使い続けてきた」ため、この動きはPCの熟練ユーザーの多くを不安にさせるだろうとJobs氏は言う。
「われわれはポストPC時代について語るのが好きだが、本当にそれが始まってみれば落ち着かないものだ」(Jobs氏)
Jobs氏は、自分がiPadのことを魔法のような製品というと今でも笑われると言い、その感覚をもっと具体的な言葉で表現しようとした。「インターネットとメディア、そしてアプリケーションとコンテンツの関係は、もっと直接的で密接なものだ。それは、中間物が取り除かれて、はぎ取られたかのようだ。『Claritin』のコマーシャルで、視界から薄い膜がはがされていく場面があるが、ちょうどそんな感じだ」(Jobs氏)
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