年初来高値を連日更新したミクシィ、市場の評価は依然として二分化

 ミクシィの株価が上昇トレンドラインを描いている。10月26日こそ前営業日比マイナスとなったものの、年初来高値を連日で更新した。しかし、株式市場における評価は依然として二分している。

 ミクシィは10月21日の取引終了後に2010年3月期9月中間期業績予想の上方修正を発表した。連結売上高は従来予想60億円から62億円へ、経常利益は15億5000万円から18億円へ、最終利益は8億2000万円から9億円へ修正。2009年3月期の第3四半期から連結決算化したため前年同期比較はないが、比較可能な単独ベースでは売上高で6.5%増、経常利益で5.5%減となっている。

 モバイル向けのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)である「mixiモバイル」の広告販売が好調に推移して売上高が拡大したほか、利益面にはコンテンツ調達費の抑制などが効いた。通期の業績予想については、インターネット広告市場の見通しが不透明であることなどを理由に当初予想を据え置いている。通期予想は連結売上高130億円(2009年3月期期比7.9%増)、経常利益は32億円(同15.5%減)、最終利益は17億円(同12.6%減)。

 株式市場はミクシィについて、今下期から本格的な収益寄与が見込まれている「mixiアプリ」への期待感を指摘する声が多く聞かれる一方、現在の株価はすでにその期待を織り込んだ水準にあり割高だと警戒する声もある。今回の業績予想上方修正を受けても意見は分かれており、評価は定まっていない。

 決算発表を受けてドイツ証券では「8月末に開始したmixiアプリは会社側の予想を大きく上回るペースで利用者数、ページビュー数を伸ばしている」と指摘。このmixiアプリはモバイル版の正式サービス開始を10月27日に開始し、今後は課金システムもスタートする。さらに期末には登録制への移行も控えていることから「ビッグプロジェクトが目白押しで、飛躍への期待が高まっている」(ドイツ証券)とコメントしている。一方でシティグループ証券などは「mixiアプリへの期待は大きいが、株間割高感は否めない」と投資に対して否定的なリポートを作成していた。

 ミクシィは9月にソーシャルアプリケーションの企画、開発、運用を手掛ける空飛ぶの増資を引き受けると発表。10月15日にもソーシャルアプリケーションの企画などを手掛けるPikkleの増資を引き受けることを発表している。この2つのアライアンスはともにmixiアプリにおけるコンテンツ開発力、提供力を強化する狙いがあることは明白。なお、これらの増資引き受けは、4月に設立を発表していたアプリ開発会社支援のための「mixiファンド」によるものだ。

 mixiアプリを核とした業績再拡大シナリオについては、市場関係者の間でもなお意見が分かれている状況。同じSNSであるグリーと比較すると業績面で見劣りすることは明らかだが、中長期的に売りが先行してきた株価には出遅れ感も漂う。ネット株全般が堅調な推移を続ける中でミクシィ株についても出遅れ感が意識され始めているようだ。なお、中間決算発表は11月5日の取引終了後に発表する予定だ。

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