ブログサービス「Ameba」などを運営するサイバーエージェントの株価が下落している。ブログサービスの順調な会員増に加えて新事業である仮想空間コミュニティサービス「アメーバピグ」の好スタートを材料に、これまで小型株物色の中心的存在だった同社に何が起こったのか。
サイバーエージェント株は9月9日から16日にかけて6営業日連続で上昇。2009年9月期第3四半期決算は8月3日に発表しているが、その内容を評価する証券会社のアナリストレポートが相次いで作成されており、株価も見直しの動きが活発化していた。サイバーエージェントの2009年9月期第3四半期業績は、連結売上高が前年同期比9.8%増の701億4200万円、経常利益は同20.7%減の28億円となった。
ベンチャーキャピタルの投資規制事業を株式市場の低迷にともなって縮小させたほか、景気減速の影響を受けてネット広告代理事業も苦戦した。外国為替証拠金取引の「サイバーエージェントFX」も一時期の勢いを失っている。ただ、注目されるアメーバブログなどのブログ関連事業は会員数が予想を上回るペースで伸びており、株式市場の評価は好意的なものだった。
サイバーエージェント株が決算内容を評価される一方で株式市場全般は不安定な為替市場に左右される展開。9月末に向けてその傾向が強まるなかで、サイバーエージェント株を含むインターネット関連株は為替市場の影響を受けにくい内需企業として選別的な買い注文を集めた。9月16日までの6日連続上昇をきっかけに、サイバーエージェント株は9月25日には12万300円まで上昇。年初来高値を更新している。8月末から同高値までの上昇率は36.2%。同期間の日経平均株価が2.1%下落していることと比較すれば、サイバーエージェント株の値動きの強さがより際立つだろう。
ただ、サイバーエージェント株はその9月25日高値を境に、下落に転じ始める。翌営業日である9月28日は為替市場が一気に円高ドル安に傾き、輸出企業は為替差損による業績悪化を懸念される格好で売りが先行。輸出企業の比率が高い日経平均株価は2カ月ぶりに1万円の大台を割り込む場面があった。
これまで通り、輸出企業を売った資金が内需企業に流れてくる構図が継続するとも考えられたが、サイバーエージェントなどネット株も同28日は大幅に下落。その後も東証1部市場、新興市場とも揃って下落傾向が続いている。
全般相場が大幅に下落したことで、多くの投資家のリスク許容度が低下しており、株式市場の雰囲気、いわゆる投資マインドが一気に悪化した。新興市場に上場するネット株はこの投資マインドの変化に非常に敏感であり、投資家の多くが株を売って現金化する動きを強めたことで、サイバーエージェント株にも利益を確定する売りが先行し始めているのだ。
サイバーエージェント株は10月5日、一時10万2200円まで下落し、10万3100円で取引を終えた。直近安値を割り込み、心理的な節目である10万円割れが懸念される情勢にある。サイバーエージェント株とともにネット株人気をけん引していたソーシャルネットワーキングサービス運営のグリーも同様の動きとなっている。全般相場の動向を無視するような展開が期待される新興市場だが、当面は全般相場の雰囲気を読みながらの神経質な展開が続きそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」