米連邦通信委員会(FCC)は、固定電話会社各社が接続を義務付けられている特定地域への通話について、「Google Voice」がこれをどう取り扱っているかの調査に乗り出している。
この訴えはAT&TによりFCCに申し立てられていたもので、AT&Tは、Googleが米政府に対して長年支持を表明してきたはずのネット中立性原則に則っていないとして非難している。Associated Pressの記事によれば、米国時間10月8日に米議会の複数の議員がこの件を調査するようFCCに要請し、こうした懸念が聞き入れられたという。Googleもこれを認めている。
この論争は、接続する通話に対して極端に高額なレートで課金することが認められている特定地域の電話ネットワークについて、Googleが通話を遮断している行為を巡るものだ。これら地域通信事業者のなかには、アダルトチャットサービス提供業者や電話会議会社など、大量のネットワークトラフィックを呼び込む企業と提携し、きわめて高額な接続レートを課して売り上げを分け合っているものもいる。これは「トラフィックポンプ」として知られる慣行で、AT&Tは長年これに不満を訴えてきた。
AT&Tは「コモンキャリア」とみなされており、公共の資金によって構築されたネットワークに対して開かれたアクセスを確保する義務があるため、こうした通話も接続せざるを得ない。AT&Tの連邦規制担当シニアバイスプレジデントであるRobert Quinn氏は、9月に同社がFCCに申し立てをした際、声明で次のように述べた。「Googleは、競合他社に当てはまる通話遮断の禁止を大っぴらに振りかざすことにより、FCCのInternet Policy Statementに含まれる第4原則について、文面上は問題ないにせよ、その精神に相反する行動を取っている」
Googleは、同社がソフトウェア企業であり、Google Voiceは電話サービスに取って代わるものではなく、電話サービスがこれまで通り正しく機能することを前提としているのだから、これらの法律には制約されないと主張する。Googleは10月9日付けのブログ投稿でこの件に言及した。
ワシントンに駐在するGoogleの通信担当法律顧問であるRichard Whitt氏は、次のように書いている。「AT&Tは、『Skype』からGoogle Voiceまで、ウェブアプリケーションが既存の電話サービスと同じように扱われることを望んでいるようだ。そのアプローチは、元FCC会長が『regulatory capitalism(規制の資本主義)』と呼んだもので、規制を利用して革新を阻害したり、減速させたりする行為だ。そしてAT&Tのロビー活動にもかかわらず、この問題はネットワーク中立性や米国の地域問題とは何の関係もない。これは時代遅れのキャリア補償のための規則に関する問題であり、根本的に崩壊しており、FCCによる修正を必要としている問題だ」
以上のことから、FCCはこの件の裁定に動くと見られる。現在Googleが連邦当局と関わる状況は珍しいことではなく、同社が行うほぼすべての行為は、技術業界において支配的な企業を断固として調査する決意を固めているかに見える連邦当局の、厳しい監視の目にさらされている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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