昨今の自動車に搭載されているコンピュータは、時間の節約に役立ち、ナビゲーションや娯楽、運転支援といった諸機能に迅速にアクセスし、さらには人間工学に基づく快適さも提供してくれる。
だが、即座に「あらゆるニーズが自動的に」満たされる状態にするには、最初の段階でかなりの忍耐力を必要としそうだ。これまでは、パソコンのセットアップや七面倒くさいビデオデッキの設定のときに求められていたのと同じ忍耐力だ。
では、具体的に、新車のコンピュータの設定にはどれくらいの時間がかかるのだろうか?最近車を購入したある人物の場合は、18時間を費やしてまだ完全には終わっていない。
技術専門アナリストのDan Olds氏は、自動車の専門家ではないが、自動車の所有者の中ではかなり技術に精通しているほうだ。Olds氏は最近、「INFINITI G35(日本名:スカイライン)」を購入した。車の機能を最大限に利用するのに必要なすべてのものに目を通し、プログラミング、同期、アップロード、ダウンロード、さらにはテストを行うのに、Olds氏はこれまでに18時間費やしている。これにはINFINITIの販売代理店で説明を受けた時間は含まれていない。
「この車の技術面にどれだけの時間を費やしたかを考えると、これほど多くの時間がかかるなんて馬鹿だと思われるか、これほど時間をかけるなんて超オタクだと思われるのではないかと心配だ」と、Olds氏は言う。
Olds氏は、技術面において平均的な自動車所有者とは言えないかもしれないが、新車の設定で特別変わったことをしたわけではない。高級モデルに搭載されている車載コンピュータとその機能が今後、徐々に低価格車にも搭載されるようになれば、Olds氏のように時間をかけるのが当たり前になってくるかもしれない。
実際、すべての車に組み込まれるオートメーション機能の増加は、全体的な傾向だ。
「不満を言っているわけではない。設定を済ませれば、本当にすばらしい車だ。ハードディスク内蔵でリアビューカメラを搭載している。(中略)だが、私はそれでも、15年間技術に携わってきた人間だ。平均的な人では、『すばらしい新世界』[訳注:機械化が進んだ「すばらしい世界」に適応できず、自らの尊厳を失う人間の姿を描いたAldous Huxleyの小説のタイトル]のような状況になってしまうだろう」とOlds氏は言う。
数週間が過ぎてもまだ、Olds氏と夫人は、装備していることすら気づかなかったちょっとした機能を発見することがある。たとえば、Olds氏のINFINITIには、GPSシステムを利用して標高を示す高度読取システムも搭載されている。
もちろん、車の所有者のほとんどは、新車の設定となると、Olds氏とそのスタミナにはかなわないだろう。たとえば、レンタカーの場合なら、どんなに知識のあるコンピュータエンジニアでも余計なハイテク機能が多すぎる車に煩わされたくはないようだ。
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