テキサス州オースティン発--Twitterは米国時間3月15日、South by Southwest Interactive Festival(SXSWi)で重要な発表を行った。この発表が、検索広告の分野でGoogleの一歩先に出ようとする試みになるだろうかと考えている人もいた。しかし、そうではない。Twitterが新技術「@anywhere」で本当にターゲットにしているのは、成功しているFacebookの「Facebook Connect」ではないだろうか。
Twitterの発表は、同社最高経営責任者(CEO)Evan Williams氏の講演の中で行われたもので、その講演自体は、率直にいえば、ややありきたりの内容だった。しかし、@anywhereの発表に人々は沸き立った。同プラットフォームは間もなくThe New York Times、eBay、Amazonといったサードパーティーパートナーのサイトで利用できるようになる。多くの詳細情報はまだ明らかになっていないが、基本的な説明は、間もなくTwitterコンテンツにサードパーティーサイトを通じてこれまでよりはるかに深い形でアクセスできるようになる、というものだ。
Facebookが2年近く前にFacebook Connectを発表したとき、同社はそれを、ユーザーとウェブパブリッシャーが、よりシームレスな登録とログインのプロセスを体験し、ウェブ全体にわたる自分の活動を友達と共有する方法としてアピールした。しかしその言外の意味は明らかだった。つまり、Facebookの製品をウェブ上のあらゆる場所に浸透させるという意味だ。その後1年と少し経過した時点で、8万のサードパーティーサイトがFacebook Connectを使用していた。
サードパーティーの反応は、Facebook ConnectとTwitterの@anywhereの理念は似通っている、つまりいずれもユビキタスな存在となることを目指している、ということで意見が一致している。Forrester ResearchのアナリストAugie Ray氏の声明には次のように記されている。「Twitterは予想を裏切り続けている。@anywhereは広告の手段を生み出すかもしれないが、それが目的ではない。@anywhereは、情報がリアルタイムで共有され発見される場所としてのTwitterの地位を今以上に固めることになるだろう。Twitterが選んだ名前に、同社が何を考えているかが如実に表れている。つまり『あらゆるところ(anywhere)』に浸透しようとしている」
しかし、両者には決定的な違いがあるといえるかもしれない。Facebook Connectでは、サードパーティーサイトに使用料は課されない。Twitterは@anywhereの財務面の具体的な事項については沈黙を守ってきたが、Williams氏は2009年の検索契約のパートナーであるGoogleと「Bing」を「Twitterのすべての公開データストリームを共有した最初の数社のうちの2社」と呼んで、@anywhereの基盤もこれに似たものとなる可能性を暗示した。そのGoogleおよびBingとの検索契約は有償の契約であり、詳細は開示されなかったものの、BusinessWeekのある記事では、その契約価格がTwitterが2009年に黒字企業となる程度に高額だったことが示唆されている。したがって、Twitterが、少なくとも大規模に@anywhereを使用する企業に対して、@anywhereへのアクセスに課金する可能性はある。
Facebook Connectと@anywhereはおそらく、共存できない性質のものではないだろう。しかし@anywhereのリリースによって、TwitterはFacebookに重大なことをほのめかしている可能性がある。Twitterのメッセージは、「確かにFacebookの方が大きいかもしれないが、メディア発信者や大規模ウェブサイトがソーシャルメディアユーザーの会話という力を利用する上で、Facebookは決して唯一の手段ではない」というものかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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