映画やテレビの世界で3Dテクノロジが勢いを増すことにより、監督やディレクターたちはストーリーテリングの手法を変えざるを得なくなるだろう。
断崖から落下したり小惑星をぬって空中戦をしたりする、息をのむような映像で3D効果に注意をひきつける時代には終わりを告げよう。これからの監督やディレクターたちは、パンのスピードを下げ、カットを減らし、もっと慎重にカメラを動かして、テクノロジをストーリーに溶け込ませるだろう。このような新しい3D映画は、2Dで見ると退屈に感じられるかもしれないが、3Dで見れば、これまでよりいっそう魅力的なものに感じられるようになるだろう。
「残念ながら、これまでの3Dは、悪い3Dだった」と語るのは3alityの最高経営責任者(CEO)であるSandy Climan氏だ。3alityは、3次元エンターテインメント用の「映像の取り込みから処理までのあらゆるテクノロジ」(Climan氏)を提供する会社だ。同氏によると、3Dテクノロジは最近まで満足できるものではなかったという。同社のテクノロジは格段に質が高いと、同氏は当然ながら主張する。しかし表現技法が進歩したわけではないし、テクノロジをどれほど使ってもその点を改善できるわけではない。監督やディレクターたちには、新しいルールが必要になる。
筆者は、3Dへの移行の中で映画やテレビの撮影手法にもたらされる変化について、Climan氏に加え、3Dビデオ録画製品メーカー3DTV SolutionsのCEOであるDidier Debons氏と事業開発マネージャーIsabelle de Montagu氏、および3Dオーディオエンコーディングを開発するA-VoluteのCEOであるTuyen Pham氏に話を聞いた。結論を手短にまとめるとこうだ。ビデオやエンターテインメントの業界にいる人は、ディレクションや編集について知っていることをいったん忘れる必要がある。3Dがすべてを変えてしまうからだ。
3Dは単なるギミックであり、プロの映画撮影技師やテレビディレクターたちに本気で相手にされることはない、と考える人もいるかもしれない。それに対しては財政面から異議が唱えられる、とCliman氏は指摘する。3D映画館での3D映画の興行収入は、同じ映画の2Dバージョンの2倍から5倍であり、3Dでのコマーシャルの方が想起率が高い。そしてそれは目新しさという要素だけではない、とCliman氏は述べている。目新しさだけであれば、トレンドは次第に先細りになっていただろう。実際には3D映画の興行収入は増えている。
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