さらにCliman氏は、「家族向け映画ビジネスでは大規模な3Dへの移行が起きている」と続け、「センター・オブ・ジ・アース」「Coraline」「カールじいさんの空飛ぶ家」などの映画を例に挙げる。特に最後の2つは、標準的なマチネ料金の3D映画に比べて格段に高い評価を集めつつある。大人向けのコンテンツについてCliman氏が言うには、スポーツやコンサートでは3Dの映画やテレビの体験に匹敵するものはない。James Cameron氏が監督を務め、近く公開予定の映画「James Cameron's アバター」は、3D制作作品で、メインストリームの3Dエンターテインメントの世界における大きな転換点となるものと期待されている。
現在のところ、3Dの成長は不可避であるように見える。家族向け映画や超大作の次に3Dの進出先となるメディアは、インディペンデント映画や芸術性の高い作品だ。テクノロジはそれが実現しそうな程度までシンプルになってきている、とCliman氏は考えている。
スクリーン上の3Dエンターテインメントが成長市場だという事実を認めたとして、そのためのコンテンツはどのようにして作るのだろうか。3alityや3DTV Solutionsなどの企業はカメラシステムを提供してくれるが、ディレクションの仕事を代わりにやってくれるわけではない。テクノロジを効果的に利用するには新しい表現技法が必要だ。
3DTV Solutionsのde Montagu氏は「人が3Dを見るのは、可能な限りリアリティに近づきたいと思うからだ」と語る。それはつまり、よりリアリティのある撮影台本を書く必要があることを意味するという。主に特殊効果を目的として3Dを使うのは逆効果だ。「脳はそれを理解しない」(de Montagu氏)
3Dの目的は、リアリティを表現することでなければならない。2D作品では、見る人の「不信の自発的停止」をかなりの程度まで期待することができる。なぜなら人々はズームやカットなどの現実的でない表現技法を受け入れ、映画を「読み取る」よう訓練されてきたからだ。しかし、3Dでこれを要求しすぎると、幻想を壊してしまう。見る人には、現実の世界にいるかのように感じさせなければならない。
そしてそのことは、例えば会話する人々にズームしたり、それぞれの人物のカットを切り替えたりといった、多くの標準的な映画撮影技法に一切依拠しないことを意味する。見る人を絶えず転換する世界に没入させてしまうと、混乱する可能性があるし、気分が悪くなるおそれさえある。「現実の世界ではズームインしたりしない」とA-VoluteのPham氏は言う。矢継ぎ早にカットして、音声が聞こえてくる位置を映像に合わせて動かしたりすれば、見る人は単純に「気分が悪くなってしまう」と同氏は指摘する。
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