Googleの書籍検索に関する著作権訴訟の和解案は、賞賛や羨望を呼び起こしたが、批判的な立場に立つ少数の人たちからは、取引を頓挫させようとする試みも起こった。
この和解の対象には、「孤児作品(Orphan Works)」、つまり著作権で保護されているが著作権者の所在が不明の書籍も含まれる。Googleは、極めて広範囲に及ぶ大規模なデジタル図書館を作ろうとする取り組みの一環として、これらの書籍の内容をスキャンしてデジタル化したいと考えている。
現在、膨大な数の孤児作品が図書館の書架の奥に眠っており、時にはそのような作品など存在しないかのように扱われている。というのも、そのような作品のデジタル化を試みれば著作権侵害に問われる可能性があるからだ。それらの作品の所有者が今後再び姿を現すことがあるのかどうかは分からない。
米連邦議会は書籍に関して、著作権はあるが「孤児」である作品からの素材を使用することに関心を持つ個人について、そのような問題に対処しようと(して失敗)してきた。カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置くGoogleは今、「Google Books Library Project」に関連する和解の条件のもとで、実質的にいわば「児童養護施設」全体と養子縁組を結ぼうとしている。
書籍への無料オンラインアクセスを支持する人々にとっては、いくつかの主要図書館の所蔵作品をデジタル化するGoogle Books Library Projectは、全面的に歓迎すべき展開のようだ。しかしGoogleは、出版社と著者から、「大規模な」著作権侵害を犯しているとして訴訟を提起され、最終的に2008年に和解に合意した。
Googleが孤児作品へのアクセスを独占することを懸念する団体の大半が、米国時間6月11日の審理の前に裁判所に申立書を提出することを検討している一方で、少なくとも1つの団体、Consumer Watchdogは、米司法省に介入を求めており、4月13日に同省の職員との会議を予定していた。
「Googleはあらゆる競争相手に対して不公平な優位性を獲得しようとしている。この問題についてすでに和解が成立していることになるからだ」。Consumer Watchdogの代表者であるJamie Court氏はこのように述べている(Consumer Watchdogは、カリフォルニア州を本拠とし、同団体が「巨大ビジネス」ロビイストと呼ぶ人たちに対抗する消費者擁護団体で、その2007年度の運営予算は約300万ドル)。
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