過去10年以上もの間ウェブサイトのコードの中に身を潜めていたJavaScriptが、表舞台に姿を現し、ウェブブラウザ戦争第2期の主戦場となっている。
JavaScriptは、開発者がウェブサイトの基本メニューからオンラインスプレッドシートアプリケーションに至るあらゆるものを作成することを可能にする。JavaScriptの誕生は1990年代中ごろで、Microsoftの「Internet Explorer」(IE)が、当時すでにあったNetscapeの「Navigator」に挑んだ時期だ。その時の戦争にはIEが勝利したが、今度はそのIEが、Navigatorの後継ブラウザであるMozillaの「Firefox」、加えてGoogleの「Chrome」、Appleの「Safari」、そして「Opera」といった新興ブラウザから挑戦を受けている。
それらの対抗ブラウザはすべて、競争上の攻勢の重要な部分としてJavaScriptのパフォーマンスを宣伝しており、各社が自社のブラウザに組み込んだJavaScriptエンジンに名前を付けるまでに至っている。Chromeの「V8」、Firefoxの「TraceMonkey」、Operaの「Futhark」と新しい「Carakan」、そして「Safari」の新ブランド「Nitro」、という具合だ。Nitroは、WebKitの「SquirrelFish」のAppleバージョンだ。
IEはJavaScriptのパフォーマンスに関してすべての競合製品に遅れをとっているが、Microsoftはパフォーマンス全般にもちろん関心を持っており、特にJavaScriptのパフォーマンスについてはそうだ。Microsoftは米国時間3月19日にブラウザの最新バージョン「Internet Explorer 8」(IE 8)を発表している。しかし、同社がこの件についてまったく異なる考えを持っていることは明らかだ。
IE担当ゼネラルマネージャーであるDean Hachamovitch氏は、インタビューで次のように語った。「当社では今後も継続してスクリプトエンジンの高速化に取り組んでいくつもりだ。(しかし)現時点では、果たしてどれだけ多くの人が、スクリプトのパフォーマンスでブラウザを決めているのか、定かではない。ウェブページが表示される速度を左右する要因の中でJavaScriptが占める部分はごく小さなものだ。JavaScriptは1つの構成要素に過ぎず、探求すべき究極の目標というわけでは決してない」
JavaScriptのパフォーマンスは、測定が容易であることから、「ブラウザのパフォーマンスを簡便に表す手段になった」とHachamovitch氏は付け加えた。Microsoftは、新たに実施したページ読み込み速度テストについて宣伝を始めている。そのテストでは、IE 8が全般的に「Firefox 3.0.5」と「Chrome 1.0」を上回る結果を達成している。補足資料のスローモーションビデオ(「Case Study Videos」「Performance Testing」の順にクリック)では、ページ読み込み速度が100分の1秒単位で短縮されたことが示されている。
しかし、偶然とは考えにくいが、IE 8発表の前日に、Googleも自社の宣伝を行った。Googleは「Chrome Experiments」というサイトを立ち上げて、高速なJavaScriptを活用して何ができるかを示し、同社ブラウザのプロモーションを行っている。サイトのアプリケーションはChromeでは全般的に安定して動作するが、IEではそうはいかない。
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