最終更新時刻:2008年7月25日(金) 21時03分

MSの海賊版対策ツール「WGA」、非難されるその理由

文:Joris Evers(CNET News.com)
翻訳校正:河部恭紀(編集部)

2006/06/27 22:13  

 何百万というWindowsユーザーが自分でも知らないうちに未完成のMicrosoft製海賊版対策ツールのテスト対象になっている可能性がある。

 Microsoftは、「Windows Genuine Advantage Notifications」ソフトウェアのプレリリース版を、Windows組み込みのアップデート機能に「高優先度」として登録し、ユーザーのPCに配布し続けている。このツール(通称「WGA Notifications」)は、PCにインストールされているWindowsソフトウェアが正規版であることを確認するために使用される。

 Microsoftがこのような方法をとるのは初めてのことだ。通常なら、ユーザーにテストへの参加を依頼してから、そうした評価版ソフトウェアのダウンロードを開始するところだ。 「こうしたやり方は初めてだと思う」と、Windows Genuineプログラム担当のDavid Lazar氏はCNET News.comの取材に応じて語った。「WGA Notificationsは特別なプログラムだ」(Lazar氏)。

 MicrosoftはWindowsの海賊版と正規版を区別するために対策強化を図ってきた。最初のWGAプログラムは2004年9月にリリースされた。これは、Microsoftのサイトから追加のソフトウェアのダウンロードするときに、自分のWindowsが正規版かどうかを確認するようユーザー求めるというものだった。11月には、別のWGA Notificationsプログラムが導入された。現在では、プレリリース版のWGA Notificationsソフトウェアが、米国を含む世界中の国々で配布されている。

 しかし、数百万人のWindowsユーザーに対して事前にきちんと通知せずにプレリリース版のソフトウェアを配布するという今回のMicrosoftの決定に、一部のセキュリティ専門家たちは困惑している。「ユーザーの中には評価版のテストに参加していることに気づいていない人もいる。要するに、疑うことを知らない実験台として利用されている格好だ」と彼らも述べる。

 「これだけ大勢のユーザーに提供するのであれば、ベータ版だということをもっと明確に通知する必要がある」とセキュリティベンダーCybertrust(バージニア州ハーンドン)の上級エンジニアRuss Cooper氏は言う。「仮に明確に通知したとしても、このような方法で提供すべきではないと思う」(Cooper氏)

 ユーザーライセンスには「プレリリース版ソフトウェア」であると明記されており、そのことはWGA Notificationsのインストール前に表示される。ユーザーはその時点でダウンロードを拒否できる。しかし、「大半のユーザーはライセンスの内容など理解できないし、ライセンスの詳細にまで目を通す人はほとんどいない」と専門家は指摘する。

ユーザーには利点なし

 このように海賊版対策ツールを「高優先度」のアップデートとして、セキュリティ修正プログラムと同じ方法でユーザーに押しつけるのは、ユーザーに同ツールをインストールさせるための策略だという人もいる。

 「Microsoftが大規模なユーザーベースでソフトウェアを実行するには、『高優先度』の修正プログラムであると偽る以外方法がないないのではないか」とニューメキシコ州ラスクルーセスのIT専門家David Walker氏は言う。

 「このツールを実行しても何かすぐに効果があるというわけではないのだから」(Walker氏)。

 「『高優先度』というのは呼び方が違うと言われても仕方がないだろう。海賊版ソフトウェアを排除することはMicrosoftにとっては確かに優先事項かもしれないが、ユーザーのコンピュータを継続的に稼働するのに重要なことではない」(同氏)。

 Directions on Microsoft誌のMichael Cherry氏も同意見だ。

 「MicrosoftのGenuine Windows Program自体は支持するが、Windows Updateや自動更新を使ってベータ版や未完成のコードを配布することに納得できるような状況は思い浮かばない」とCherry氏は述べる。自動更新はWindowsの更新機能だ。

 「Microsoftは重要度の低いソフトウェアや評価版のソフトウェアを配布する、もっと良い方法を考える必要がある。セキュリティ上の問題を解決するために必要なアップデートなのか、信頼性を向上させるために必要なアップデートなのかがユーザーに分かるように、呼称も変えるべきだ」(Cherry氏)。

警告もなし

 実際、「大半のユーザーは、海賊版対策ツールをインストールするかどうかを確認するメッセージが「自動更新」によって表示されても、どうしてよいかわからず、単純に受け入れてしまう」とGartnerのアナリストMichael Silver氏は言う。

 「このツールをインストールしてもユーザーが恩恵を受けることはほとんどないが、ほとんどのユーザーはおそらく、何かも分からずに、単純にインストールを了承してしまうのだろう」(Silver氏)。

特集

S・ジョブズ氏の健康問題--アップルは詳細を公表すべきか
アップルの最高経営責任者であるジョブズ氏の健康を憶測し、アップルが詳細を公表しないことを非難する報道があるが、そのような姿勢は適切ではない。
アップルが進める「製品の移行」--CFOの発言をめぐる憶測
米国時間7月21日の業績発表でアップルの最高財務責任者(CFO)が述べた「製品の移行」という言葉が、さまざまな憶測を呼んでいる。

オピニオン

■インタビュー

「ニコニコ動画を日本のインフラにする」--夏野氏がニコニコ動画に参画した理由「ニコニコ動画を日本のインフラにする」--夏野氏がニコニコ動画に参画した理由
iモードの育ての親として知られる元NTTドコモの夏野剛氏が、新たな活躍の場としてニコニコ動画を選んだ。夏野氏の参画でニコニコ動画はどう変わるのか、夏野氏とニワンゴ取締役の西村博之氏(ひろゆき)に話を聞いた。
ゲームソフト会社から見たiPhoneの魅力--「ここまで整ったプラットフォームは世界初」ゲームソフト会社から見たiPhoneの魅力--「ここまで整ったプラットフォームは世界初」
7月11日、ついにiPhoneが発売され、アプリ販売サイト「AppStore」がオープンした。iPhoneの本当の魅力はどこにあり、今までの携帯電話やゲーム機とは何が違うのか。ハドソン執行役員の柴田真人氏に聞いた。

■コラム

データマイニングを取り巻くツールに自動化の流れデータマイニングを取り巻くツールに自動化の流れ
データマイニングは高度で職人的な作業であるため、分析者の能力と人数の限界により、処理できる件数とデータ量も制限されてしまいます。そこで、この問題をカバーするためにツールの進化が求められ、これに応えるようなソフトウェアが出てきました。
ゲーム市場の台風の目と期待されるカプコンゲーム市場の台風の目と期待されるカプコン
全般軟調相場が続いている東京株式市場の中で、ここにきて逆行高の兆しをみせているのがゲームソフト大手のカプコンだ。
オリンパス、第1四半期決算好調観測--円安も追い風にオリンパス、第1四半期決算好調観測--円安も追い風に
東京株式相場が深刻な下げに見舞われている中にあって、比較的堅調な値運びをみせているのが好業績も期待できるオリンパスだ。

企画特集

DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」
〜企業システムの仮想化環境の構築を支援〜

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々今アーキテクチャが面白い
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトインターネットのリュミエール
クロサカタツヤの情報通信インサイト
平野敦士カールのアライアンスInsightGoogleお前もか?
平野敦士カールのアライアンスInsight
江島健太郎 / Kenn's ClairvoyanceiPhoneという奇跡
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」サミット、サミット、そして今こそ!公衆無線LAN
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点暗黙共同体へ−秋葉原事件で考える
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点

読者ブロガー

IT業界(笑)最底辺層生活定性的大キライ。(3)
IT業界(笑)最底辺層生活

■調査レポートダウンロード

IRサイトは、テクノロジーが評価の優劣を決める
Alloraでレガシー・スクリーン・データを構造化されたRDBMSにリアルタイムでエクスポート

■調査発表

フィットネスジムへの公用車使用については、支持が48%、不支持が32% - 橋下知事の公用車利用について調査
「'09 光ディスク市場の実態と将来展望」を販売開始
意識調査「夏のリゾートバイトは涼しい北海道が学生に人気」

CNET Japan セレクション

フォトレポート:分解、アップル「iPhone 3G」
CNET News.comの姉妹サイトであるTechRepublicは、7月11日に発売されたばかりの「iPhone 3G」を早速分解し、その様子を紹介した。
ちょっと変わった「iPhone」向けアプリケーション10種
「iTunes」のApp Storeでは、「iPhone」向けのさまざまなアプリケーションが販売または無償で提供されているが、中にはちょっと変わったアプリケーションも存在する。
契約してわかった、iPhoneのさまざまな注意事項
7月11日にソフトバンクモバイルから発売された、アップル製携帯電話「iPhone 3G」。その契約手続きの中で、機種変更時の料金やメールの保存期間など、iPhoneが持つさまざまな注意事項が見えてきた。
フォトレポート:米陸軍が表彰した2007年の技術
米陸軍は毎年春、前年の優れた発明を発表している。このフォトレポートでは、選出された2007年の優れた発明を写真とともに紹介する。
30日間、完全無防備でインターネットを利用したらどうなる?--マカフィーが実験
マカフィーは、スパマーが心理的な計略を使ってインターネットユーザーをだましており、しかもその手法は進化を続けていることがわかったと発表した。
フォトレポート:ゲーム見本市「E3 2008」--MS、任天堂、ソニーなど主要プレスカンファレンス
米国時間7月15日からロサンゼルスで開催されているゲーム見本市「E3」。マイクロソフト、任天堂、ソニーが開いたプレスカンファレンスの模様を写真で紹介する。

今日の見どころ

吉徳版ベイダー、ライトセイバー型お箸… スター・ウォーズイベントの展示を見る

技術サポートの悪夢

最新モバイル端末、参考出展技術--写真で見るワイヤレスジャパン2008

レビュー

[レビュー]高い信頼性を普通に使う地球に優しい電源ユニット--Antec EarthWattsシリーズ EA-650
“自作ユーザーは、電源ユニットに何を求めるのか?”出力なのか、安定性なのか、それとも機能性なのか?難し
オンリーワンの個性を極めた超薄型テレビ--日立 Wooo UTシリーズ
日立製作所の超薄型液晶テレビWooo UT 770シリーズは2008年6月にラインアップが増強され、さらに日立らしい
[レビュー]“この手があったか”と思わせるパワーユーザーも納得のPCオンデマンド--「VALUESTAR G タイプR Luiモデル」+「Lui RN」詳細レビュー
「VALUESTAR GタイプR Luiモデル+PCリモーター」は、設置場所にとらわれずにPCを使える、NECが新しく提案
今週の新製品総チェック:ドコモ、au夏モデルが続々店頭へ、ビデオカメラは新機種ラッシュ
NTTドコモ、auなど、ケータイ夏モデルの店頭発売日が決定し、盛り上がりを見せている。9.8mmの超薄型ケータ
[レビュー]テレビを持ち歩ける最強ツール--ソニー、Blu-rayレコーダー「BDZ-A70」
[レビュー]ネットワーク対応の高機能デジタルフォトフレーム--ソニー「Canvas Online CP1」
15時間の行列で手に入れたiPhone 3Gファーストインプレッション--ソフトバンクモバイル「iPhone 3G」
北京を見逃すな!--2008年夏、今買うべき「薄型テレビ」
[レビュー]通勤鞄に忍ばせたい軽さと装着感--マクセルのノイキャンヘッドホン「HP-NC15」

CNET_ID

メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。