多くのインターネット企業にとって、Dwin Ngoのケースは今後大いに参考になるだろう。
ロサンジェルスでスパを経営するNgoは、これまで紙媒体で1度に数千ドルもかかる広告を打ちながら、思うような効果を上げられなかった。そんな彼女は最近「InsiderPage」というもっと効率的な広告媒体を見つけた。InsiderPageは、ある種のオンラインソーシャルネットワークで、ロサンジェルス近辺にあるサービスについて利用者が評価を書き込むレビューサイトだ。Ngoは、誰かが自分のホテルにフリーダイヤル(これもサービスに含まれる)で予約の電話を入れてくるたびに2ドル支払うだけだ。
「コストが安いので、私は迷わず紙媒体ではなくインターネットの広告を選ぶだろう。インターネットを利用している人たちは、最初からこちらを探している」(Ngo)
Ngoのケースは、数十億ドル規模にもなるローカル広告ビジネスのオンライン化を狙っている多くのインターネット企業にとって、この分野の将来性を示唆するものだ。しかし、残念なことに、Ngoは今のところ例外的な存在だ。全米に数百万社もある小規模企業の経営者は、インターネット広告の利用方法を習得する時間もエネルギーも持ち合わせていない。
それでも、検索企業やその他のネット関連企業は、小規模な企業が今後莫大な広告収入をもたらす鍵になるという予測を疑っていない。彼らがそのように楽観視している理由は、次のようなものだ。すなわち、こうした小規模企業が毎年広告に費やす額は600億ドルに上るが、そのうちの少なくとも一部はインターネット広告に振り向けられる可能性がある。この600億ドルという予測は、小規模企業の平均的な年間広告予算6000ドルに、全米の小企業総数約1000万社を掛けた数字である。
あくまで机上の計算ではあるが、こうした見通しは、高収益の検索広告ビジネスに、さらに明るい材料を提供する結果となっている。この市場は、今年中に40億〜50億ドル規模に達すると見られている。
「小規模企業の経営者たちがオンライン広告を利用するようになれば、数十億ドル規模の市場になる」とカリフォルニア州パサディナにあるInsider PagesのCEO、Stuart McFarlaneは述べている。「しかし本当の課題は、現在イエローページを利用している企業にも十分に手の届く料金設定にして、彼らにインターネット広告を利用してもらえるようにするという点だ」(McFarlane)
検索業界をリードするGoogleとYahooは、ほとんどセルフサービスの巨大な仕組みを作り上げた。この仕組みでは、マーケッターは検索結果の隣りにならぶ広告スペースを入札で購入して広告を出すことが可能で、広告主はユーザーが広告をクリックしたときだけ料金を支払えばよい。検索広告はコスト効率が高いため、以前から先駆的な企業が利用してきたが、いまでは国内外のさまざまな企業が利用するようになっている。
しかし、ローカルに活動する小規模企業の多くはまだこうした検索広告を利用していない。業界アナリストによると、こうした企業は1000万社以上あるにもかかわらず、GoogleやYahooなどの検索広告を利用しているのは、そのなかの数十万社程度に過ぎないという。
「これらの小規模な企業にインターネット広告を利用してもらうことは非常に難しい」と、Kelsey GroupアナリストのGreg Sterlingは述べている。
中小企業はたいてい経営が苦しいため、大企業のように広告代理店を雇って検索企業が提供するキーワードオークションに参加するわけにはいかない。インターネット広告の有効性は多くの小規模企業でも知っているが、インターネットという媒体は複雑だという認識があるため、そこまでする時間も意志も持ち合わせていない。
それでも、消費者の行動によって、こうした状態も変わってくるだろうと、アナリストらは予想している。ネットバブルの当時とは違い、「インターネットは今、消費者側が製品やサービスを検索するという、これまでになかった現実に直面している」(Sterling)
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