コンピュータのデスクトップにおける日常タスクをウェブ上で行おうという考えは、10年も前からあった。だが最近、このコンセプトが勢いづきはじめている。
ウェブをOSのように扱い、Windowsのデスクトップアプリケーションへの依存度を軽くしようという着想は、Netscapeのブラウザが登場した1990年代中ごろにまでさかのぼる。
技術的には、いわゆるウェブOSと呼ばれるソフトウェアがユーザー動作をハードウェア機能に置き換えるためには、WindowsやLinuxなどの基本OSに依存することには変わりはない。しかし、ウェブOS、つまり「ウェブトップ」の支持者たちは、エンドユーザーコンピューティングをウェブブラウザに持ち込むことで、OS選択の重要性を小さくしようとしているようだ。
salesforce.comや、YouOSを運営する新興企業のWebShakaなどが、彼らが言うところのインターネットのためのOSを構築するという、野心的な課題への取り組みを開始している。またMicrosoftも、インターネットの「雲(クラウド)」上で動作するサービスを構築するため、エンジニアによる「Windows Live Core」チームを結成した。
一般概念としてのウェブOSのもう1つの展開として、ウェブブラウザ内にコンピュータのデスクトップを再現するというサービスが、次々とオンライン上に登場してきている。こういったウェブトップ製品も、ウェブOSと称されることが多く、人々がウェブ上でしたいと思うことの、すべてではないにせよ、たいていのことはできるようにしてくれる。
3月、Laszlo Systemsは単一のブラウザ内で複数のデスクトップ型アプリケーションを動作可能にするソフトウェア、「Laszlo Webtop」を発表した。
たとえば、ユーザーは同一のウェブブラウザの「コンテナ」内で、Laszloのウェブベースのメールサービスを、連絡先リストマネージャやインスタントメッセージング(IM)とともに運用できる。
Laszloの最高技術責任者(CTO)を務めるDavid Temkin氏によると、ブラウザ内にデスクトップ環境を再現するという同社の手法は、サーバーソフトウェアとクライアントソフトウェアの両方を必要とするものだが、人々が視覚的なウィジェットを動かせるインタラクティブなウェブポータルから発展してきたものだという。
「これはポータルページというよりも、むしろ本格的なOSがデスクトップで提供するものに近い。技術上の定義からするとOSではないが、エンドユーザーにとっては、OSのように見えるだろう」と、Temkin氏は語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」