「Yahooは当分、検索エンジン競争でGoogleに勝てないと思う」--2006年1月、今やYahooの次期最高経営責任者(CEO)の最有力候補と目されている人物が明言したこの言葉は当時、大きな注目を集めた。
これは、Yahooの現最高財務責任者(CFO)Susan Decker氏の発言だ。伝えられるところによれば、同氏は「今の市場シェアを維持できれば大満足」とも話したという。この率直な意見は、米国カリフォルニア州サニーベールのYahoo本社を大きく揺り動かした。経営陣からはDecker氏の発言が誤って引用されているのだという意見も上がった。2人の検索事業担当バイスプレジデントが、Yahooの社内ブログに、同氏の発言は同社の公式見解ではないと書き、同社の検索事業への取り組みを改めて強調するという事態まで起こった。
そんな2006年の終盤、いずれYahooのトップになるのはDecker氏だろうという見方が強まった。というのは同氏が、未来が突然ぐらつき始めた同社の、経営の鍵を握る役職に就任したからだ。
12月5日、Yahooは、同社を「Advertiser and Publisher Group」「Audience Group」「Technology Group」の3つのグループに分割するという組織再編を発表し、Decker氏はAdvertiser and Publisher Groupの責任者に任じられた。この新しい体制は2007年1月1日からスタートする。一方、最高執行責任者(COO)のDan Rosensweig氏、「Media and Entertainment Group」を率いてきたLloyd Braun氏など、複数の幹部が退任となった。ブランドマーケティング担当バイスプレジデントを務めてきたMurray Gaylord氏も辞任してNYTimes.comに移籍するなど、幹部職の離脱は今後も続くと見られている。
Yahoo内部からはっきりとしたことは聞かれないが、この経営陣の入れ替えは、2007年中には退くだろうと考えられているTerry Semel氏の今の地位、つまりCEOを引き継ぐだけの経営手腕がDecker氏にあることを示す、絶好の出来事となった。この件について、Yahooはコメントを拒否した。
この組織再編により、Decker氏はまさに、Googleに遅れをとらないために最も大きな改革が必要とされる分野に取り組むという大役を任されることになる。それが、Panamaの完成だ。Panamaは、Yahooの広告機能を強化し売上額を増大させると同社の経営陣や各アナリストが期待する、新しい広告プラットフォーム。内部関係者によれば、これまでのところ、Panamaのテストは順調に進んでいるという。
Yahooのもう1つの大きな課題は、「Peanut Butter Manifesto」と呼ばれる文書が指摘した、Yahooの各部門間の重複とすれ違いの問題を解決することだ。この問題を分かりやすく示すのが、音楽配信サービスのYahoo Musicと数年前にYahooが買収した有料音楽サービスMusicmatchの例だ。両サービスは統合されていないため、同じ会社で事業が競合してしまっているだけでなく、各スタッフの作業が重複している可能性もある。
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