Steve Jobs氏のいないApple Computerを想像するのは難しい。派手な共同創設者Larry Ellison氏のいないデータベース大手Oracleもまた然りだ。
しかし、投資家と顧客は、このシリコンバレーの2大企業の内部で、Jobs氏とEllison氏以外の誰かがCEOとなる日に備えて、具体的な動きが起こっていることを望んでいるに違いない。いつかは、この2社もほぼすべてのテクノロジ企業が直面する問題に対処する必要がある。それは、「会社の象徴ともいうべき人物が最高経営責任者(CEO)の職に留まることができない、あるいは留まる意志がなくなったときどうするのか」という問題である。
長年取り組んできた後継CEOの育成計画を実践に移す企業が増えている。
AppleやOracleのように誰が次のCEOになるのか外部からはまったく見えない企業もあるが、CEO後継候補を慎重にかつ公に育成してきた大手技術系企業も数多く存在する。こうした企業の多くは、綿密なプロセスに従って後継CEOを育成している。その点では古い業界と何ら変わりはない。
2006年、いくつかの技術系企業で世代交代が行われている。4月には、Sun Microsystemsの共同設立者Scott McNealy氏がCEOの職を退き、長い間同氏の代役を務めてきたJonathan Schwartz氏がCEOに就任した。Bill Gates氏も6月、MicrosoftのCEO退任後の自身の生活について明言した。これは、ここ数年の間に明らかにされてきたことだが、徐々に引き継ぎを進め、2008年には実業界から身を引くつもりだという。
いくつかの大手テクノロジ企業の後継者が公に知られていないことは、それほど驚くにはあたらない。むしろ驚くべきなのは、近年、Sun、Microsoft、Dell、Intel、Advanced Micro Devices、Symantecなどの大手テクノロジ企業が、新CEOへの移行を比較的スムーズにやり遂げていることだ、と業界ウォッチャーたちは指摘する。IT業界は、カリスマ性と独自のアイデア、そして、かたくなまでの頑固さによって会社を導く企業家によって創設された企業で成り立っているからだ。
「こうした企業の多くは1個人の個性とスキルに大きく依存しているため、後継CEOへの移行は容易ではない」とLeapfrog Venturesのベンチャー投資家Mark Dubovoy氏は言う。
未来のリーダーたちの育成計画の大半は、企業の重役と各最高責任者が継続的に話しをするなかで実行に移される、と管理職スカウト会社Christian and Timbersの副社長Stephen Mader氏は言う。取締役会のメンバーたちは、会社の現在の状態と最終的な目標を念頭に置いて後継者候補の条件を絞り込む。
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