なぜ、サイボウズを辞めたんですか?--津幡靖久(フィードパス代表取締役社長CEO) - (page 2)

島田昇(編集部)2007年12月21日 12時55分

自分の美学を貫く

津幡氏:サイボウズは非常にいい会社です。ここで得られることが自分の人生のゴールであると感じられれば、そこに残ることは正しいと思うんです。しかし、Googleは5年で1000億円の売り上げになったということなどを考えると、僕としてはグローバルにやっている企業と同じ土俵で勝負していきたいという気持ちに正直でいたいなと思うんです。

 ここにいる人たちも感じているかもしれませんが、会社の仕組みが変わっていく中で、たまたま、まだ元気に働けるときはチャンスだと思うんですよ。そのチャンスを生かし、ベンチャービジネスを通じてどれだけ世の中にこれまで与えられてきたモノを返せるか――。自分が死ぬときにこれがやれなかったというのではなく、自分の美学を貫いて満足できたと誇れることは、何にも増して重要なことなんじゃないかなと思います。

渡辺氏 三菱UFJキャピタルの渡辺洋行氏

渡辺:Zimbraが米Yahooに買収されるという報道がありました。今後、フィードパスにはどのような影響を与えていくのでしょうか。

津幡氏:我々の有力なアライアンス先であるメールソフト提供元のZimbraが米Yahooに約400億円で買収されました。まだIPO前にもかかわらず、サイボウズの時価総額の3倍という額です。米国の投資サイドがそれだけいいものだとお墨付きをくれたので、余計自信を持ってビジネスの展開が できます。

 ただ、将来的にはどうなるか分かりません。どこかの会社がフィードパスを買収するかもしれません。今言えるのは、それまでにいかにフィードパスの企業価値を上げるかが、経営者である僕の一番の指命なのかなと。

企業が持つセキュリティ意識の壁

渡辺:では会場からの質問を受けます。「最も気になる競合先はどこですか?」とのことですが。

津幡氏:やはりGoogleですかね。勝てればいいが、勝てるとは思っていないので、グーグルのやっていることの隙間にあるマーケットを見て、そこを攻めていきたいと思っています。

渡辺:「フィードパスの具体的な中長期のビジョンは?」との質問をいただきました。

津幡氏:将来的にはさまざまなビジネスソフトを包括して、電話のように普通に受けられるサービスとしてSaasを提供していきたいです。まずは会社に情報システム担当者がいて、という世界ではなく、水道やガスのように使えるようになっていく世界が、情報システムとして正しい在り方だろうと思っています。まだできることは限定的ですが、それを実現に向かわせて、情報システム担当者を雇わなくてもいいようなサービスを提供できる会社にしていきたいです。

渡辺:「セキュリティなどの問題があって、なかなか会社の基幹部分にサービスが導入されるのは難しいと思います」との質問をいただきました。

津幡氏:まさしくその問題には直面しています。ですから、パッケージではできない連携やイントラネットを活用したモデルを提供することで、パッケージのカスタマイズだけではありえない付加価値を出していく方針です。

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