起業後、キールネットワークスは櫻井氏の技術と知名度を活かし、企業や政府、大学、イベントのIT通信関連のコンセプト作りや技術開発、ノウハウ提供など多岐にわたるビジネスを手がけてきた。
「DRM(デジタル・ライツ・マネジメンツ)を米大手ソフト会社と共同開発したり、ビルディングオートメーションと呼ばれる次世代オフィスのコンサルタントを行うなど、大手クライアントから受けた一品ものの仕事が多かったですね。BtoBtoCのモデルでいけば、Cのところのお客さんには見えない仕事ばかりだった」
櫻井氏はこう回想するが、これは、創業当初のコンセプトによるものでもあった。社名の由来となった「キール(=ヨットの竜骨)」という言葉からもそれは明らかだ。
「キールは船下にあり、外からは見えないんです。しかし、キールがなくては、風に向かって船は進めません。『外から見えなくても重要な仕事をしよう』という気持ちを社名に込めたんです」
しかし、櫻井氏は日本政府館とサイバー日本館と長久手と瀬戸両岸のネットワークの設計と運用した「愛・地球博」への参加をきっかけに、同社の面舵を別方向に切りはじめる。
「『愛・地球博』で開発したのは、無線LANの電波強度分布と確率論で位置情報を誤差2メートルの範囲内まで検索し、それを使って目の不自由な人にサービスを提供するというものでした。そのとき、生のユーザーの顔を見たんです。企画・デザインは大変な苦労を伴ったんですが、実際使っている人の顔をみると、パッケージングも含めた違う世界観をつくりたいなと思ったんです。『櫻井商店』と言われているフェーズから、新たに自分たちで何かをつくるフェーズに会社を移行させようと」
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