プラットフォームの提供とゲーム開発の両面で世界展開を進めるグリー。9月20日より開催中の「東京ゲームショウ2012」基調講演第2部では、同社代表取締役社長の田中良和氏が、あらためてその戦略を語った。
田中氏ははじめに「スマートフォンが劇的に普及した」とこの1年を振り返った。これは、ユーザーが持つハードの性能を高めた。他方では、通信事業者がいよいよLTEの提供を開始するように、通信インフラも整ってきている。このハードの進化と通信インフラの整備によって、ソーシャルゲームは大きく進化したと田中氏は語る。
これによって、これまで別々に進化してきたコンソール機、PC、モバイルのうち、PCとモバイルの垣根があいまいになってきたと語る田中氏だが、今度はその“融合”がコンソール機にまで及ぶと予測する。「スマートホンの出荷台数も非常に多く、進化の速度も劇的。このトレンドがさらに続けば、どんなPCより高性能なスマートフォンが出てくる。我々も、ハードが成長する前提で何を作るべきか、ということが求められている」(田中氏)
また、ソーシャルゲームの重要な要素として「コミュニケーション」があるが、LTEのような高速通信の登場により、コミュニケーションだけでなく、ゲームの品質も求められるようになる。「今までの回線速度では実現できなかったものができる状況はすぐに来る。よりゲーム性やストーリー性のあるゲームでも、『重い』『遅い』と思わない時代が来る」(田中氏)
では、そんな来たるべきソーシャルゲームの新しい時代にグリーはどう対応していくのか?田中氏はまず、ビジュアル面を含めてゲームデザインを強化する必要性を挙げる。「ネイティブアプリにすることで、ゲームはよりリッチになる」と語る田中氏は、今回同社のブースにも出展するTPS(3人称視点シューティングゲーム)の「War Corps」や3Dのレースゲーム「Wacky Motors」を紹介し、「常に新しいゲームデザインが求められている。我々も新しい取り組みをし、ソーシャル性をさまざまなゲームに盛り込んでいくよう、積極的にチャレンジしていきたい」(田中氏)と語った。
そして、次に取り組むべきは「新しい文化の創造」だという。田中氏は、これまでコミックやコンソールゲームがアニメや映画化され、玩具や各種のグッズとなってさらに認知されていったことを挙げ、「ソーシャルゲームが広がる中、ここで新しい文化、IPを作りたい」(田中氏)と語った。すでに同社のソーシャルゲーム「探検ドリランド」はアニメ化されているが、8月に設立を発表した新会社「グリーエンターテインメントプロダクツ」を通じて、iPhoneケースなどのグッズも販売を始める。「ソーシャルゲームを楽しむのも大切だが、世界感を愛していただけるファンを増やす。単なるソーシャルゲームの会社でなく、コンテンツ、文化を作る会社というチャレンジをしてきたい」(田中氏)
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