国内外のテクノロジ界のイノベーターを集めたカンファレンス「新経済サミット2014」が、4月9日から2日間の日程で開催されている。4月9日の基調講演には、米Oracleの最高経営責任者(CEO)、Larry Ellison氏が登壇し、「データプライバシー」の現状と未来について語った。
当初、Ellison氏の講演テーマは「ユーティリティコンピューティング」だった。しかし、同氏は開口一番、米国中央情報局(CIA)/米国国家安全保障局(NSA)の局員だったEdward Snowden氏の名前を挙げ、「米国政府機関が国民の通話記録を収集、監視していると暴露したが、(政府の情報収集で)不利益を被った国民はいない」と指摘。
「(Snowden氏の暴露で)国民は政府やNSAに不信感を持っているが、不満があれば選挙で意思表示をすればいい。米国は民主主義国家だ。個人情報を公開するかどうかは自分で決められる」と語り、社会が個人情報について過度にナーバスになっているのではないかとの見方を示した。
Ellison氏は「どんな技術や情報も悪用されることはあるが“悪用される可能性があるから利用や収集を禁止すべき”という主張はナンセンスだ。悪用する人間を罰すればいい。民主主義国家である以上、技術や情報は、より良い社会生活実現のために活用されるべきだ」と主張する。「プライバシーの提供と利便性はトレードオフ」というのが、同氏の考えだ。
「例えば、クレジットカードを考えてほしい。人々は年収や家族構成、日々の購買履歴といったプライベート情報をカード会社に提供している。その見返りとして、(現金を持ち歩かなくても)買い物ができる利便性を享受している。将来的には、究極の個人情報であるDNAや医療カルテ情報を(医療サービス機関に)公開することで、自分では気がつかない的確な医療サービス受けられる。多くの人がこうしたサービスを利用する反面、テロ防止目的の通話履歴情報の提供には反発する。それはナンセンスだろう」(Ellison氏)
基調講演の後半は、楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏がインタビューアーとして登壇し、インタビュー形式で進められた。プライバシー公開の課題についてEllison氏は、「(自分で公開の範囲を決められる)オプトインの選択肢があるのかが重要であり、個人の権利を主張することを学ぶ必要がある」との見解を示した。
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