これまで、携帯電話キャリア向けのモバイル広告を扱うキャリアレップ3社の状況と戦略を見てきた。いずれもキャリアの子会社で、親会社と二人三脚でモバイル広告事業を進めている。
しかし、モバイル広告市場のプレーヤーには、独立系企業も数多く存在する。いずれも一般サイトと呼ばれる、キャリアのポータルサイトのディレクトリには掲載されていないサイト向けの広告を数多く取り扱っている。今回はその中の1つ、シーエー・モバイルを取り上げる。
シーエー・モバイルは2000年5月にインターネット広告大手のサイバーエージェントがモバイル専門のマーケティング会社として設立した企業だ。一般サイトや公式サイトのピクチャー型広告(バナー広告)やテキスト広告、会員向けのメール広告、検索連動型広告などを取り扱っている。2005年12月には電通グループと、2006年3月にはNTTドコモと資本提携をして経営基盤の強化も図っている。
シーエー・モバイルはクリック保証型の広告配信サービス「KEITAI CLICK!」において、アドサーバーにより複数の一般サイトをネットワーク化して広告を配信している。配信先は約3000サイトで、サイトの総閲覧数は合計で月間約8億ページビューという。
ただし現在、売上構成として最も大きいのはメール型広告だ。自社サイトと他社サイトの会員数を合わせて、約2000万人に広告を配信できるという。メール広告はユーザーに広告をプッシュ型で配信できることやユーザーの属性を指定して配信できることから、広告効果が高いとして引き合いが強い。
メール広告はスパムメールの増加により、一時期は効果が危ぶまれていた。しかし、キャリアがスパム対策や受信したいメールの送信元を指定できる機能などに力を入れたことで、風向きが変わったという。
「ドメイン指定受信機能はメールを受け取らないようにするものではなく、欲しいメールだけを選択して受け取るためのものだという認識がユーザーに広まっている」(常務執行役員の霜島豪介氏)
一般サイト向けの広告主としては、どのような企業が多いのだろうか。霜島氏によれば、アルバイト情報などの人材サービスの広告主が多くの割合を占めているという。一般サイトは無料サービスを提供していることが多く、若年層の利用が多い。このため、アルバイトなどの広告と親和性が高いのだ。景気の回復で企業の採用意欲が高まっていることもあり、出稿が伸びているようだ。
キャリアレップの販売する公式メニューの広告主として大きなシェアを占めている公式コンテンツプロバイダも一般サイトへの広告出稿意欲が高まってきている。公式コンテンツプロバイダが一般サイトに広告を掲載するのは、近年公式サイトが増えてサイト間の競争が激しくなっており、各キャリアのメニューからの会員流入だけでなく、新しい会員流入チャネルを求めているためと霜島氏は分析する。
このほか、消費者金融やカード会社の広告主も多い。テレビCMなどのマス広告でまず認知度を高め、モバイルでユーザーのアクションを促すというのが一般的な手法といい、広告主は販売促進ツールの1つとしてモバイル広告を利用している。
今後、モバイル広告市場を拡大する鍵となるナショナルクライアントについては、出稿額自体は少ないものの、自動車メーカーや、飲料メーカーを中心に、業種に広がりが出てきているという。ただし、若年層をターゲットとしている商品の広告が多く、マス広告と連動したプロモーションがほとんどとのことだ。
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