公式サイトはクオリティが高く信頼できるコンテンツであることをキャリアから保証されていると同時に、サイトへの誘導経路も一般サイトに比べて豊富に揃っている。しかし、携帯電話の高機能化に伴って開発費が高騰した今、単純に公式サイト化するだけではビジネスが成り立たなくなってきている。
もはや公式メニューの中にコンテンツがあれば集客できるという時代は終わり、それに代わって多彩なプロモーション手法が求められているのだ。
一般サイトで自由に運営した方が面白いと思う企業が増えている中、少し視野を広げてメディア媒体と携帯電話の関係を掘り下げるべく、「モバイルコンシューマー成功の秘訣」と題したセッションが行われた。
スピーカーとして登壇したのは、ディー・エヌ・エー(DeNA)取締役 ポータル・コマース事業部長 守安功氏、りーふねっと 代表取締役 岡丈詞氏、リクルート 事業開発室 クロスメディアプロモーションユニット ゼネラルマネージャー 緑川岳志氏。モデレーターは合同会社移動体通信研究会 代表 木暮祐一氏が務めた。
携帯電話の勝手サイトと呼ばれる一般サイトは、どのようにして自社サイトにユーザーを集めるべきか、どのように利益を上げるか、という点が最重要課題だ。また、携帯電話のメディア補完ツールとしての活用についても注目が集まっている。モデレーターの木暮氏は、これらのテーマに沿って各パネラーに自社の紹介を求めた。
まず最初に、6月末に603万人の会員を獲得した「モバゲータウン」の統括、DeNAの守安氏は、モバゲータウンの戦略を紹介し、集客法について、どのようなところに注力しているのかを語った。
モバゲータウンは、無料のゲームをフックに会員を集め、アバターを絡ませながらSNSのコミュニティに繋げてユーザーの定着を図っている。コミュニティから口コミで新しい会員が入ってくるというサービスだ。
会員数は4月時点で484万人、6月末の時点で603万人と右肩上がり。PVも4月に月間92億、6月に月間107億と順調に成長している。
立ち上げ当初は、ヘビーユーザーの10代、20代前半に口コミ中心で広がったが、20代半ば以上の世代を十分に獲得できないという課題があった。そこで2007年よりマス広告を強化し、テレビを中心として雑誌、交通広告など、メディアミックスを含めた戦略を行った。その効果によって、20代、30代以上のユーザーを中心に会員が増加し、2006年の月間20万〜30万人から約60万〜70万人まで増えた。
「その後、4月にテレビCMを中断したので約40万人に落ちましたが、5〜6月に大々的にキャンペーンを展開したところ、約60万人の純増がありました。この結果、テレビを含めてマス広告によって一定の会員を獲得できると実証されたわけです」(守安氏)
コンテンツに関しても、2007年3月からユーザーが投稿できるクリエイター向けサービスを開始し、小説と音楽を募集。小説は21万件、音楽は6000もの作品が寄せられた。このクリエイターのコーナーは現在、1日に3000万のPVがある。利用を促すため、コンテスト、オーディションも実施している。小説はコンテストで優勝したら講談社から出版、音楽ではエイベックスからCDデビューという出口を設けている。
「ゲームとSNSの枠を越え、このようにポータル的に幅を広げています。コアはゲーム、SNSですが、それに加えてグループ企業のモバオクなどのECサイトにユーザーを流していく。さらに情報サービスとして、ニュースや天気予報を提供し、検索エンジンも着々と準備を進めています。まだ公開はしていませんが乗り換え案内のサービスも開始する予定です。このように、SNS中心のサービスから、さまざまなコンテンツを広げてきています」(守安氏)
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